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もうお前を離さない322

「…宮野殿にも言われたが……。…ワシは、秀吉公を殺したことは後悔していない、ただ、……最近そうよく言われるからか、やり方を間違ったかと思うんだ」
「……思ったところでどうにもならねぇだろ」
「あぁ。どうしようもできない。………だが、三成との戦は…止められるんじゃないかと思ってな」
「…………………」
「…ワシは三成を殺したいんじゃないんだ」
徳川はぽつりとそう言うと組んだ腕の中に頭を埋めた。伊達は徳川を振り返り、そしてすぐに視線を前に戻した。
「…、独眼竜…ワシはどうしようもない最低な奴だな。三成を裏切っておいて、戦うことを嫌がるなんて」
「…家康」
「…ワシは一体どうすればいい……」
徳川はそう言って沈黙した。伊達もしばらく黙っていたが、不意に立ち上がると徳川の後ろに座り、ぼふっ、と徳川にもたれかかった。
「ぅわ」
「宮野には自分を捨てるなと言われたんだろ?」
「!」
「だったら、アンタがやりてぇようにすりゃいいじゃねぇか。ま、伸るか反るかは分からねぇがな」
「…独眼竜……」
「乗り掛かった船だ。俺はアンタの考えに乗るぜ」
伊達はそう言うと首だけで徳川を振り返り、にっ、と笑った。体ごと伊達を振り返った徳川はぽかん、と伊達を見つめていたが、伊達の言葉を理解したか、次第に泣き出しそうな顔をして笑った。
伊達はごつん、と徳川の額と己の額とを合わせた。
「…すまん、独眼竜」
「少しは俺を頼れよ。仲間だろ?それとも俺との絆はいらねぇってか?」
「!!!!そ、そんな事はないぞ!」
徳川は慌てて首を横に振ると、伊達は楽しそうに笑った。徳川は意外そうにその伊達を見た後、小さく笑った。
「……独眼竜」
「石田の野郎をpersuasionするんだな」
「……あぁ。独眼竜にはすまないが…」
「HA!…その事ならもういい」
「!」
「よくはねぇが、俺が弱かった、ただそれだけの話だ」
伊達はそう言うと立ち上がり、徳川に手を差し伸べた。徳川はその手を取り、立ち上がる。
「The last partyだ。Are you ready?」
「あぁ!」
徳川は力強くそう返すと、照れくさそうに笑った。伊達はそんな徳川に目を細めるとふいっと背を向け歩き始めた。
徳川は慌ててその後を追った。

 「政宗様」
「どうした小十郎」
2人並んで陣営の中央に戻ると、片倉が文を伊達に差し出した。
「有り得ぬ文が届いております」
「あぁん?……宇都宮?」
「宇都宮は真田が倒したのではなかったのか?!」
文は宇都宮からの物だった。文には夜、東軍陣営に参上する、とのみ書かれてあった。
伊達は徳川と顔を見合わせる。
「…あの間者も宇都宮か?」
「そういえば…。…だが何故だ?」
「さぁな。夜参上するってったってどうするつもりだ?」
伊達は呆れたようにため息をつくと文を片倉に戻した。
片倉は2人を見てしばらく黙った後、ふ、と目を閉じ、そして伊達に向き直った。
「いかがなされますか、政宗様」
「来るって言ってんだ、出迎えるしかねぇだろ?」
「…しかし、死んだはずの宇都宮が何故、今頃」
「存外真田とグルだったのかもしれねぇな。…面白ぇ事してくれるじゃねぇか」
伊達はそう言うと嬉々として笑った。徳川はそんな伊達を見て小さく笑った。
「…政宗様。もう一つ、お耳に入れておきたい情報が」
「?」
「雑賀衆の事です」
「?三代目がどうした」
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