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もうお前を離さない326


「くだらん」

「!三成さん!」
「貴様等の世界の事など関係あるものか」
不意に響いた石田の声に3人は揃ってそちらを振り返った。
石田の言葉に宮野は首をかしげた。
「三成さんそんなトコまで知ってたんですか?」
「ごめん、私話した」
「あ、そうなの。いいよいいよ」
「?」
「はい、こっちの話です。まぁ関係ないでしょうけど、念のためです、念のため」
「…ふん。村越、来い」
「?はい」
石田はそれだけ言ってふいと踵を返した。村越はまたね、そう言って2人から離れていった。
宮野と真田は顔を見合わせると2人して大筒を見上げた。
「………こりゃ…小早川裏切りそうだな…」
「そうだな…」
「……よし。適当な頃合いを見つけて小早川の陣に行くことにする」
「うむ…頼む」
「…このまま上手く行ってくれればいいんだけど…」
「?」
宮野の言葉に真田は首をかしげた。宮野は真田を見上げ、笑う。
「他の人には内緒だよ。三成さん、徳川の罪を許すことにしたんだって」
「!!真か?!」
「昨日私に言いに来た。戦の中、徳川に会いに行くから、その間芽夷を頼む、って」
「頼む…?」
何故?と呟いた真田に宮野は楽しそうに笑う。
「なーんかよくは分からないけど、あの2人、くっつきつつあるみたい。2人が今抱えてる物を払拭出来た時…。いい夫婦になると思うなぁ」
「ふ、ふうふっ?!破廉恥なッ!!」
真面目な口調から一転、おどけたようにそう言った宮野に真田は顔を真っ赤にさせてあたふたとなった。
そんな真田に宮野は小さく吹き出し、声を上げて笑った。
「何言ってんのさ?聞けば私、真田の嫁って呼ばれてんでしょ?」
「そそそそれはそうだが!」
「なら今更夫婦ごときで破廉恥じゃないでしょ。私ら夫婦みたいになってんだし」
「……黎凪…俺のような者がつ、番いでよいのか?」
「へっ?」
真田の言葉に宮野はぽかんとして真田を見上げた。真田は顔を真っ赤にして、僅かに顔を逸らしている。
「その…お前と俺はこ、恋人だ。だが夫婦と恋人は違うだろうっ?!」
「………私は幸村さえ構わないなら、幸村の奥さんになりたいけどな」
「!!!!」
「だめ?」
「だ………。…いかぬわけなどないだろう…っ!」
真田は顔を真っ赤にさせて宮野をぎゅうと抱きしめた。宮野は苦笑しながらも真田の背に手を回した。
「…明日で、全て終わるんだね……」
「そうだな……長き戦乱の、終止符が打たれる事となろう」
「幸村…死なないでね」
「うむ。善処する。お前もな」
「善処するよ」
2人さそう言って笑い合った。


「三成さん、何かありましたか?」
「…………やる」
「?」
陣営の中に戻った石田と村越の方はと言うと、石田が村越に何かを差し出していた。村越は不思議そうに石田を見た後それを開いた。
「…!これ…鍔…三成さんが普段使ってるのの片割れ…く、くれるんですか?」
「…ッ拒否は認めない」
「ありがとうございますっ」
顔を僅かに赤くさせて外方を向いた石田に村越は嬉しそうに笑ってそう礼を言った。


「独眼竜」
一方の東軍陣営では徳川と伊達が戦場となる関ヶ原を見下ろしていた。徳川は空を見上げた後、伊達を見た。
「もし仮に…ワシがこの前言った事と反するような事に走ったら、止めてくれ。その…あまり最後まで落ち着いて出来るか自信がない」
「Rediculous…情けねぇ事言いやがって。…まぁいい、アンタが馬鹿に走ったら止めてやる。怪我しても知らねぇぞ」
「ふふ…。すまないな、独眼竜」
そう言って徳川は笑った。



終焉の戦が、始まろうとしていた。
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