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もうお前を離さない323

「雑賀衆は西軍から離軍したとの報が。それも、大分前の話のようです」
「!何?」
「…そういえば元親と行った時にもいなかったな」
「……What?」
伊達は徳川の言葉にぴくり、と体を跳ねさせるとぎろり、と徳川を見た。
「ん?なんだ独眼竜」
「長曾我部と、ってまさかテメェ西軍陣営に行ってたのか?!」
「!!あっ」
徳川はしまった、とでも言いたげな顔で視線を逸らした。片倉は呆れたようにため息をつき、伊達は苛立ったように己の髪をかき回した。
「だぁぁっ!そういやさっき大阪城に行ったって言ってたな!そこで気付くべきだったぜ!Shit!!」
「い、いや、でもホラ!大丈夫だろう!」
「何がだ。その腕の傷!!最近出来た傷だろうが!!」
「!!?!?!?!?!?!?」
「た、忠勝?!いつの間にってわぁぁぁ…」
ぎゃーぎゃーと騒いでいたら、どこからか本多が現れ、徳川を持ち上げるとそのまま飛んでいってしまった。
「……。攫われてったな」
「攫われましたね」
伊達の主従はそれを黙って見送った。
伊達は本多の姿が見えなくなるとふぅ、とため息をついた。そして片倉の方を首だけ振り返り、にやと笑った。
「……家康の野郎、石田を説得する事に決めたぜ」
「!!!!政宗様、」
「うまいこと宮野の策に乗せられてる気分だぜ」
「…反対は、なさらないのですな」
片倉の言葉に伊達はふ、と目を伏せ体ごと振り返った。
「……まぁな」
「奴を…許すのですか?」
「許す?HA…そんな偉い立場じゃねぇ。ただ……もし仮に、石田が家康を許すような事があれば、俺がいつまでも野郎を憎むのは筋違いだろ?それに…憎んだところで、亡くしたものは帰ってこねぇからな」
「政宗様……」
伊達は目を開き、片倉を見た後苦笑した。
「宮野の野郎が本当に全員を和睦させられるのなら、その先にある世界も面白そうだしな」
「……そうですな」
片倉は伊達の言葉を聞いて、ふっ、と優しい笑みを浮かべたのだった。


 その夜。
「…そろそろ来てもよさそうだけどな」
伊達は刀に手を掛けながらそう呟いた。隣に立つ徳川も頷く。
宇都宮がいつ来ても分かるよう、東軍陣営には煌煌とかがり火が焚かれていた。その中央に伊達と徳川が、その脇に片倉と本多が控えている。
伊達はふぅ、とため息をついた後、ちら、と徳川を見た。
「……家康。さっきから気になってたんだが…その腰のはなんだ?」
「ん?あぁ、これは忠勝の武器の1つでな。次無謀な事をしたらこれで攻撃すると怒られてしまってな!」
「!!!!」
「それ笑っていう事か?!」
「…!政宗様!」
片倉の言葉にはっ、と3人は辺りを見回した。
いつの間に発生したのか、霧が漂っている。しかもそれはどんどん酷くなっていく。すぐに伊達は徳川の姿を見失った。
「家康!」
「酷い霧だな!大丈夫か独眼竜!」
伊達は片倉と、徳川は本多と背中合わせに立った。伊達は刀を抜き、腰に構えた。
その時だ。
「…?鳴き声…?」
「…ッ何かきやがる!」
籠もった何かの鳴き声とともに、大きな足音が近づいてきた。
伊達は少ししてその正体に気が付いた。
「家康!虎だ!」
そう叫んだ時、伊達の目の前に虎が現れ、咆哮した。
「!」
「政宗様!」
「独眼竜?!」
虎はそのまま伊達に突撃してきた。伊達がそれを避けようとした時、虎の上から勢い良く突き出された槍が伊達の胴と腕の間を通り、伊達が怯んだ一瞬にその槍を突き出した人物が伊達の体を抱え上げた。
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