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もうお前を離さない327




明朝。遂に戦が始まった。

「行って参る!」
「うん。行ってらっしゃい!」
「…武運を祈っています」
「………………必ず戻る」
宮野と村越はそれぞれ真田と石田を戦場へ見送った。
胸元で手を強く握る村越に、宮野はぽん、と肩を抱いた。
「大丈夫」
「れ、黎凪…」
「信じて待っていればきっと大丈夫」
宮野はそう言って笑った。村越は小さく頷いた後、戦場を見下ろした。数多の兵が入り乱れる乱戦となっており、目的の人物は見つけられなかった。
表情が暗くなった村越に、宮野はふ、と思いついたように己の首元に手を回した。
「芽夷。これ貸してあげる」
「…?ッ!これ駄目でしょ!」
宮野が村越に手渡したのは真田と揃いの首飾りだった。ダメだダメだと言う村越の抵抗を押し退けて、宮野はそれを村越の首に回した。
「私のお守り。効果ちゃんとあるよ」
「そ…そうなの?でも…それは2人が付けてるからじゃないの?!」
「大丈夫大丈夫。確かに、2人が付けてるから効果があるのかもしれない。なら、尚更ちょうどいいはず」
「?!なんで!?」
「いいからいいから!ね?」
「…う……分かったよ…」
村越はしぶしぶ受け取り、首元のそれを見下ろした。宮野はそれを認めると、戦場の空を見上げて笑った。


「…ッ」
動いた時顎にぺしり、と当たったそれに石田は眉を寄せた。
喉に触れた石田に、隣にいた大谷は何事かと近寄った。
「如何した三成」
「…真田が寄越した守とやらが邪魔だ」
「…まもり?」
石田の首元を覗き込んだ大谷は、首元でキラリと光るシルバーネックレスを見つけた。石田は鬱陶しそうにそれを軽くひっぱった。
「断ればよかったものを」
「真田が持っていけと聞かなかった」
「…?これは奴の嫁と揃いのものではなかったか?」
「なっ!?だ、大事なものなのではないのかッ?!」
今まで知らなかったのか、石田はそう叫ぶときょろきょろと真田の姿を探した。
そんな石田に大谷は小さくため息をつく。
「さぁてなァ…。…御守と言っておったのであろう?」
「…そうだ、だが……」
「ならば持っておけ。真田とて、そう簡単に揃いの物を渡しはしないだろう」
石田は大谷の言葉にそれを見下ろした後、鎧の下にしまい込んだ。大谷はそれを見た後、ふと思い出したように石田の前に回った。
「…それはさておき三成よ。主、徳川を許すつもりだそうよな」
「!!」
びくり、と石田の肩が跳ねた。その様子に大谷は小さく笑い声を漏らす。
「そう構えるな、…主がよいなら我はよいのよ」
「刑部……」
「真によいのか?三成……」
そう尋ねる大谷の声は柔らかい。
「…あぁ…私は……そう決めた」
石田は一旦俯いて目を閉じた後、顔を上げてそう言った。迷いの無いその瞳に大谷は目を細め、小さく笑んだ。
「ならばそうせよ。やれ、早に徳川の元へと参るか」
「!…あぁ」
石田は勢い良く地面を蹴った。


「うぉぉぉぉぉぉ!!燃えよ我が槍、我が魂ぃぃ!!」
真田は勢い良く槍を払った。飛んでいく兵士から血は、流れていない。
真田はふっ、と息を吐くと地面を蹴った。前の兵士をぴょんぴょんと乗り越え、陣大将の元へ向かう。
「風林火陰山雷水!!」
陣大将に向かって技を放つ。陣大将が持っていた槍を弾き飛ばし、立っていた櫓も吹き飛ばす。
吹き飛んだ大将に槍を突き付けた。
「降参されよ」
「へっ……?」
大将はぽかんと真田を見上げた。
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