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もうお前を離さない359

徳川は顔を真っ赤にして石田を凝視している。石田はそんな徳川に小さく笑った。
「貴様の方が蛸のようだぞ、家康」
「だ、だ、だってお前接吻って…!まさか、まさか…!」
「……なんだ」
「おおおお前、ちゃんと責任取れるんだろうな?!」
「きっ…貴様私がそんな責任も取れない情けない男だとでも思っているのか!私が愛してもいない女に接吻するとでも思うのか?!」
「そうは思ってないが…ただ物凄く意外だっただけだ!お前に、あ、愛する人が出来るなんて…!」
「なっ…貴様揶揄るな!その成長する子を見守る親のような目で私を見るなァァァァッ!」
「うぉわっ?!危ないな!」
直後に聞こえた金属がぶつかる音に村越は小さく笑った。そして、止めていた足を動かした。
「はい!そこまでです!」
「!あ」
「!!村越…貴様いつからいた」
「お二方が息切れしていた辺りからです」
「なっ…き、聞いて…ッ」
「すいません、つい」
楽しそうに笑った村越に、僅かに石田の顔が赤くなった。ぷいっ、と石田は村越から顔を逸らし刀を納めた。
「…盗み聞きなど認可しない」
「すいません。お二人が話しているのを…聞きたかったんです」
「………、……」
「ふん。…で、何の用だ」
「小早川は本当に鍋を作りにいったみたいなので、宴会は夜始まると思います。その前に休んでください」
村越はそう言うとそ、と石田の右腕をつかんだ。
酷使したその腕は僅かに熱を持っている。
「………分かった」
「徳川殿も、クワガタみたいなでかい人が探してましたよ」
「!?…た、忠勝か?!わ、分かった…三成!」
「なんだ」
「式の日取りが決まったら教えてくれ!」
「!!!!…ななななな貴様!」
「じゃあな!」
徳川はHAHAHA!と爽やかな笑みを浮かべ走り去っていった。
石田の顔は羞恥と怒りに赤く染まり、村越はきょとんと首を傾げた。
「…式?」
「!気に掛けるな!奴の戯言だ!」
「…?そうですか。なら、気にしません」
「…………。…その…腕は平気か」
「え?あ、はい、大丈夫です。さすがに少しは傷みますけど」
村越は右腕を持ち上げ、小さく笑った。石田はそうか、と小さく返すと村越に向き直った。
「……………」
「…………?」
何も言わずにじ、と己を見つめる石田に村越は再びきょとんとしながらも見つめ返した。
石田はつ、と村越の髪を掬うと口付けた。
「!!あ、あの…!」
気障な所作に村越の顔が赤く染まった。石田はくすりと優しく笑った。
「…何故だろうな。貴様といると、笑みが浮かぶ」
「!……よかったです…」
「………、貴様、目を閉じろ」
「………?!え、あの、」
「早くしろ」
「〜〜〜〜〜!……、…」
村越は真っ赤になりながらも目を伏せた。
石田は満足そうに、ふん、と鼻を鳴らすと、僅かに膝を折り、唇を重ねた。



 「Hey.真田ァ、入っても平気か?」
「?!ま、政宗殿!」
一方、武田軍陣地では、いつの間にやってきていたのか、陣幕の外から伊達がそう尋ねた。
驚いた真田の声色に伊達はくっくと喉を震わせて笑う。
「アンタのHoneyは泣き止んだか?」
「…余計な気遣いは無用です」
「アンタの右目が気になってな」
「!……政宗殿、」
「ししんけいとやらがどうのこうの言ってたが、実際どうなってんだ。俺は抉った身なもんでな」
「…私もよく分かりません」
「なら、ちょいと見させてもらうぜ。入るぞ」
伊達はそう言うと陣幕をばさりと上げて入ってきた。
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