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もうお前を離さない344

「………家康……」
徳川はその声に再び顔を上げた。
「…三成…………」
「……お二方も色々思うところがあるとは思いますが、それはもうちょい後にしてもらえますか?」
「、あ、あぁ」
宮野の言葉に徳川はびくり、と肩を跳ねさせ、石田は徳川から視線を逸らした。
ふんっ、と真田は気合いを入れるように槍を握り締めた。
「取り敢えずは今の戦を終わらせねば!」
「……の前に、一つ聞いてもいいですか三成さん」
「…なんだ」
「さっきからずーっと気になってたんですが………大谷さんはどこに?」


「刑部ぅぅぅぅぅっっ?!」
「やっぱり忘れてたな」
普通ならば常に傍にいた大谷が、愚者坂の時から姿を見せていないことに今更ながらに気が付いたようであった。
石田は慌てて辺りを見回す。
「そういえば……。珍しいな、刑部といないなんて。どこで別れたんだ?」
「……砲撃があった後、坂に走った…別れたとしたらその時だ」
「某がこちらより向かった時には見掛け申さなんだ」
「…本来なら愚者坂の入り口にいるはず……。………まさかっ」
「?!どうしたのだ黎凪!」
不意に宮野が地面を蹴った。着地と同時に走りだした宮野を真田達は慌てて追う。
「黎凪!!待て、そんな体では…!」
「それどころじゃない!多分最後の難関だ!」
「は?何を言っているのだ貴様!」
「なんかルートとかステージとかと関係あるの?!」
村越は石田に手を引かれ走りながらそう尋ねた。
「関ヶ原の戦は乱入の時、愚者坂の前には大谷さんが張った結界がある!それがないって事は大谷さんが倒されたって事になるけどだったら幸村が気が付いてるはず!でもそれもないって事は最初から結界を張ってなかったって事になる!」
「…つまり…どうなるのだ?」
こてんと首を傾げた真田に宮野は顔だけで後ろを振り返る。
「大谷さんが三成さんから離れざるを得ないような事態が起こったって事!」
「そんな事が…?」

「多分、毛利が裏切った!!」

「なぁぁにぃぃぃぃぃッ?!」
「な…ッなんと?!」
宮野の言葉に石田は怒りを浮かべ、真田は困惑を浮かべた。
「毛利の青ルートで関ヶ原は出てこないけど、北上してたし、大谷さんが動くって事はまず間違いない。そんでもって第三勢力が来るのはあっちから」
宮野はそう言いながら愚者坂とは反対の方向へ向かって走った。
その直後、宮野はふぅ、と息を吐き出して足を止めた。
「あーぁ、やっぱり」
「「!!」」
視界の先に、緑色の旗がひしめいていた。
ぎり、と歯を鳴らした石田は踵を返し、近くの高台に向かった。
「!三成?」
てっきりそのまま走っていくものと思っていた徳川は石田の後を追った。
「西軍全軍!!直ちに陣に戻れ!!」
「!」
「み、三成様!」
「三成様!」
「何事にござりまするか!!」
「毛利が裏切った!貴様等は己の陣地に戻って守備を固めろ!」
「三成…お前……」
「とっ、徳川家康!」
石田の声に集まっていた石田軍の兵士は、徳川の姿を見て刀に手を掛けた。
「止めろ」
「?!」
「東軍全軍に告ぐ!毛利が攻めてきた!今すぐ西軍との争いを止め、陣に戻るんだ!!」
「三成様、これは一体…?!」
「………貴様等には謝らねばならない事がある」
困惑する兵士の声に石田はそう言うと、刀を傍らに、その場に膝をついて座した。
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