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もうお前を離さない342

「何言っても無駄ですよ。生前からそういう人でしたから」
「せっ…死んでるのか?!」
「…アンタが私をどう思おうとどうでもいいけどさ。貶すのは私だけにしてくれる?ただでさえアンタ、人を上辺でしか判断出来ないんだからさ」
『何を偉そうに…アンタに人の心が分かるとも思えないけどね!』
「分からないよ。心に闇があることまでは分かる、でもその底までは分からない。だから口出しするんじゃない。少しでもそこから拾いだしたいから!」
『馬鹿な事を!アンタみたいな死神には、人を救うことなんかできやしないわよ!現に、一人死んできたじゃない!』
「…ッあれは!」
『アンタが今生きているのだって、あの女の命を得たからでしょう?!こざかしい!!あの時止めなかったのも計算済みだったってワケね!』
「!」
はっ、と徳川は息を呑んだ。
「そこまで計算できるんなら俺はとっくにアンタの事を殺してるよ!死人は死人らしく黙ってろ!!」
宮野は腹立たしげにそう怒鳴ると地面を蹴った。火の玉めがけ刀を突き出し、それが躱されると横ぶりに追撃をかけた。
火の玉はそれも避けるとふよふよと宮野から離れた。
「それに!…お市さんは、自分であの道を選んだんだ。後悔なんかしていなかった!!」
『アンタはいつもそう!自分で選ぶべきだなんだと言って、結局は自分が他人の人生を変えるのが怖くて最終判断を本人にやらせて責任から逃げているだけじゃない!他人の人生背負う覚悟もないで、何が救うよ!!』
「…!それは違う!!他人の命を背負う覚悟なら出来てる!それに!自分が生きる道は自分で決めなきゃ最後まで貫けない!!だから私は本人達に選ばせた!他人に強制された道は、最後まで進む事なんか出来ない!こんな戦乱で、国の未来と命が掛かった状況で、そんな道を進めると思ってんのか?!」
『中二病みたいな事を…体のいい言い訳ね!』
「…ッ……だから…ッ」
「Shut up!!!アンタにとやかく言われる筋合いはねぇ!」
宮野と火の玉との会話に苛立ちがピークに達したのか、伊達が刀を引き抜いて会話に割り込んだ。
「黎凪をこれ以上侮辱する事は許さぬ!!誑かしただの責任から逃げただの…我らが道は我らが選んだもの!騙されてなどおらぬ!!」
真田も槍をかまえ宮野の前に立ちふさがった。
「少し黙ってくれないか?貴殿の物言いは少々頭に来る」
火の玉に怯えていた徳川も、彼には珍しく眉間を寄せ、拳を作った。
『次から次へと…黎凪ごときに騙された愚かな男達が』
「んなっ!!」
「テメッ!!」
「貴殿は人の話を聞いているのか?!…?三成…?」
ぎゃーぎゃーと言い合った時、ふ、と徳川は石田がいつの間にか傍に来ている事に気が付いた。
「…する…」
「三成…?」
「貴様を斬滅するぅぅぁぁぁぁぁっ!!」
「?!」
石田は突如そう叫ぶと勢い良く地面を蹴り火の玉に迫った。
『!!』
その鬼気迫る形相に火の玉は慌てて逃げた。その直後、その場に刀が突き刺さる。
「…おい。なんでアンタがそんなに怒ってんだ」
その場にいた皆が思った事を伊達が代弁した。真田ですらぽかんと石田を見ている。
石田はぎらりと火の玉を睨んだ。
「宮野にも貴様にも興味はない!!だが、村越を苦しめる事だけは許さない!!」
「!しまった、」
石田の言葉に宮野は慌てて村越を振り返った。
その時。
『死になさい黎凪!!』
勢い良く動いた火の玉が宮野の頭を通過した。
「痛ぅぁぁぁぁっ!!」
「黎凪?!」
宮野は勢い良く右手で顔を押さえた。
その手の隙間から、ぼたぼたと血がこぼれた。
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