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もうお前を離さない347


「毛利ぃぃぃぃぃぃっ!!」

「!元親?!」
地響きを上回る、長曾我部の大声が響き渡った。
それと同時に、前面に角のついた巨大な機巧が現れた。
「うわぁぁっ?!何あれ戦車!?戦国時代に?!ええ!?」
「あ、映画に出てきた奴だ」
「な…なんと面妖な…」
「富嶽燦式ってーんだよ」
宮野はそう言いながら、どこか楽しそうに笑った。
「さすが海の男、西海の鬼!決断してくれたか!」
「へっ?ちょっ、黎凪!」
やや興奮したような宮野はそう言うなり目の前の兵士を思い切り蹴り飛ばし、毛利を目がけて進みだした。
乱入してきた長曾我部は富嶽燦式の先頭に立ち、進行方向の先にいる毛利を見据えた。
「こっの野郎〜ッ久し振りじゃねぇか!途中から現れて漁夫の利を狙いやがるたぁ、相変わらず汚ねぇやり口だなあ、毛利よぉ!」
長曾我部は機巧の動きを止めると、そう叫びながら機巧の床を蹴り飛び上がった。
毛利はそんな長曾我部を冷めた目で見上げた。
「敵対せしものを斯様なまでに喜色満面で罵倒いたすとは、長曾我部よ、貴様しばらく会わぬうちに人が変わったか」
「ぬかしやがれっ!!アンタにあんだけの事をされといて、俺が容赦すると思うなよ!!」
長曾我部はそう怒鳴りながら毛利目がけて破槍を振り上げた。
「愚かな」
毛利は短くそう吐き捨てると輪刀を体の前で回し、壁を作り出して長曾我部に投げつけた。
「ちっ」
長曾我部は正面から壁とぶつかった。そのまま跳ね返され、空中でくるりと一回転する。
「無駄なことよ」
毛利はそう言うと、ばっ、と右手を振り上げた。毛利の側にいた弓兵が弓に矢をつがえ、一斉に長曾我部目がけて矢を放った。
「げっ…」
長曾我部は思わずそう呟いたが、不意に長曾我部を守るかのように長曾我部の外側に竜巻が巻き起こった。
矢は風に跳ね返され、毛利は眉間を寄せる。長曾我部はにっ、と笑って足元を見下ろした。
「助かったぜ黒田!」
「…!」
竜巻を巻き起こしたのは黒田だった。黒田は長曾我部の礼に肩を竦めるとじゃらり、と手枷を鳴らした。
毛利は黒田が長曾我部の味方である事に驚いたか、僅かに目を見開いた。
「己が所領を壊滅させたものを味方にするとは、つくづく貴様は甘い男よ」
「俺ァアンタとは違うんでね。毛利ィ!!俺はアンタを恨みなんかしねぇ」
「何を申すかと思えばまたも訳の分からぬ事を。貴様、人が変わったのではなく更に能無しになったか」
「けっ。何とでも言いやがれ!俺はなぁ、アンタの事なんざ忘れてやるのよ」
「…何……?!」
長曾我部の言葉に、初めて毛利の表情が歪んだ。
長曾我部はそんな毛利に馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
「アンタを殺した後アンタの所の兵は俺が面倒を見てやる」
「貴様…!」
「俺は色んな野郎に助けられてここまで来た。俺が死んだ野郎共の事を忘れないように、野郎共は俺が死んでも俺の事を覚えてるだろう。だけどアンタは違う!」
長曾我部はそう言って手に持った破槍を毛利へ向けた。
「アンタが死んでも何も残らねぇ、誰もアンタの事なんか覚えちゃいねぇ!永遠の孤独に苦しみやがれ!毛利元就!!」
「…ふざけるな!!」
毛利が声を荒げ、輪刀を構えて地面を蹴った。長曾我部はにやと笑って同じように地面を蹴った。
「!…毛利殿…怒っておるのか?」
「あちゃー緑ルートの台詞言っちまったのか」
「緑ルート…って、長曾我部の?」
「そー。長曾我部が毛利の人生全否定するルート」
「あぁん?…今のがそうなのか?」
「何だかんだ言って、長曾我部も毛利の上辺しか見てないって事だよ」
宮野はそう呟くように言うと戦い始めた2人を見据えた。
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