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もうお前を離さない335

「…奴すらもいない世界に、どうやって生きればいいッ!!」
「!…貴殿は、村越殿の事を…」
「どけ!家康を殺してやる!!」
「お待ちくだされ!貴殿は徳川殿の罪を許すと、お決めになったのでござろう?!」
起き上がって走りだそうとする石田を真田は押さえつけ止めた。
真田の言葉に徳川と伊達は顔を見合わせ、そして再び石田を見る。
「三成殿!某は黎凪と村越殿に、貴殿と大谷殿は死なせぬと誓い申した!!」
「!!なん…だと…?」
「それに!恐らく、村越殿は、生きておりまする!!」
「!?」
石田はバタバタと真田を押し退けようと暴れていたが、真田の言葉に驚愕して真田を見た。
それは徳川と伊達も同じだった。
「真田、村越殿というのは…?」
「この前、長曾我部殿の喧嘩した女子にござる」
「!あの子か…」
「何故分かる…?」
そう尋ねた石田の声はどこか震えていた。真田は、石田の上から降り、石田の前に座した。
「某、先程本陣に戻ったのでござる。その時……ッ、…黎凪は見つけ申した」
「…まさか…死んでいたのか?」
「…!」
石田の問いに、息を呑んだ徳川を横目に真田は小さく笑った。
「…元より覚悟の上……」
「……貴様は家康を恨まないのか」
「…恨んだとて、奴は戻りませぬ。ならば、某は貴殿と徳川殿、どちらかの破滅以外の道で戦を終えたいと願った、奴の夢を叶えたいのでござる。…恨みませぬよ」
「………………………」
石田は真田の言葉を聞いて僅かに俯いた。
「…されど、いくら探せど、村越殿の姿はなかったのでござる」
「…!」
「黎凪の亡骸は綺麗なものでござった。村越殿が直撃を受け、爆死したとは思えませぬ。ならば、生きてどこかにいるはず!」
「真田…」
真田はがし、と石田の肩を掴んだ。
「まだ諦めるのは早うござる!」
「…!」
石田は驚いて真田を見つめた。真田の目には僅かに涙が浮かんでいる。
「…何故貴様は…そうまで……」
「申したでござろう?某は貴殿を死なせぬと黎凪に誓ったと!守れなかった今、せめてその誓いは守りたいだけにござる…ッ」
「………っ…すまない…」
「!三成殿、」
その時。
爆音をたて、西軍の大筒が爆破した。
「こ、今度はなんだ?」
「……Oh…what happen…」
「大筒が…」
「何か起こったのでござろうか…っ?」
それぞれやや呆然としながら炎上する大筒を見ていた時だ。

ぴきん、と渇いた音がして、石田が首から下げていたシルバーネックレスが割れた。

「?!おい真田、」
「?…!首飾りが、」
真田はぱらぱらと落ちた中から、先端についていたカプセルを持ち上げた。
「………もしや」
「?真田…?」
「三成殿!あそこへ参りましょうぞ!」
真田は頭に浮かんだ予感に勢い良く立ち上がると、石田の腕を掴み、走りだした。
「な、なんだなんだ?」
「おい、待て待て!お前ら置いてくな!!」
徳川と伊達、そして片倉と本多も慌てて2人を追った。


少しして、6人は小早川の陣に到着した。真田は石田の腕を離し、陣の中に入った。
「真田…何故ここに」
「某なりに考えた結果にござる。…黎凪から聞いた印象のみでも、村越殿は生きていたら必ずここに来る!」
「何故だ…?」
「何故?貴殿を裏切ったからにござる」
「…ッ」
「ひぃぃぃぃぃぃっ」
小早川を探して走り回っていた時だ。不意に小早川の悲鳴が聞こえ、真田と石田は同時に振り返り、地面を蹴った。
「ひぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「逃げるな貴様ぁぁぁっ!!」
「「!!」」
聞こえてきたのは、村越の声だった。
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