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もうお前を離さない354

「…まぁ、間違っちゃ、いないんですよ。……間違っていないからこそ、それをはねのける事が出来ないんですよね」
宮野はそう言うと苦笑した。毛利は何も言わずに宮野を見つめている。
「だからなんだ、いえ、ただそれだけです。…それだけです、けど……今ここで、毛利殿説得出来なかったら、右目潰されて恨まれてまで戻ってきた意味がなくなる気がするだけです。だからまぁ、自分の為なんですよね、はは」
「……解せぬ」
「えぇ?…私って話すの下手だなぁ……」
「そういう問題ではない。そうまでして成したいのならば脅してでも我を屈せればよいだろう」
「…それじゃ意味が無いんです。私は、貴方の意志で選んで欲しいから」
「何故よ?」
「悪く言えばまた戦を起こされるのは困るからです。貴方は絶対他人の強制で曲がる人じゃありませんから」
「……………」
毛利は宮野の言葉にむっとしたように宮野を見据えたが、ふい、と逸らした。
「…我が貴様等と仲良しこよしする事で何を得るというのだ?」
「そうですね…少なくとも敵はいなくなりますよ」
「貴様は人の愚かさを理解しておるだろう。…永遠にあるものなどないわ」
「そうですね。人は争いを起こす事を止める事は出来ない。劣等感という感情がそれに走らせる。…それでも、出来ない事ではない」
「…は?」
理解できない、そう目で訴える毛利に宮野はくすりと笑った。
「戦を起こせないようにすればいい。侵すことの出来ない決まり事を作ればいい。それは出来ますよ」
「サンフランシスコ平和条約!」
「うわぁびっくりした。まぁ、そんなものかなぁ…それには国際連合いるけど」
びしっ、と人差し指を立て不意にそう言った村越に宮野は驚きながらも笑い、毛利の方を見た。
毛利は考えるように手を顎に添え、目を伏せていた。
「………………法で人を縛るという事か。…貴様のその顔、具体的な事を思いついておるのだろうな」
しばらくして目をあげた毛利は、宮野の顔を見てげんなりしたようにそう言った。宮野は笑う。
「貴方は毛利の名を途絶えさせる事は出来ない。だけと、そのために他を滅ぼさなくても、その事は出来るでしょう?」
「………1つ問う。貴様が我が了承する事で得るものとはなんだ」
毛利の問いに宮野は僅かに驚いて毛利を見た後、にっ、と笑った。
「夢。そして、今までの己を認められる」
「…………」
「毛利殿。…どうか聞き入れてはくださらぬか」
真田はつっ、と歩み出ると、宮野の隣に立った。毛利の視線が宮野から真田へと移る。
「某は、これから新たな世を作る為に、貴殿の力も必要だと思うのでござる!」
「…」
「だぁぁっ!いつまで続くってんだこの話し合いはよぉ!」
その時不意に長曾我部がそう怒鳴った。長い話に退屈したのか、はたまた別の理由か。
長曾我部は破槍を地面に突き立てると、ずんずんと毛利に歩み寄った。
「……」
毛利は何も言わずに長曾我部を見上げた。
長曾我部はふぅ、と長く息を吐きだすと空を仰いだ。少しして、覚悟を決めたように顔をおろすと、きっ、と毛利を見据えた。
「亡くしたもんは戻りゃしねぇ!だったら奪った野郎にそれ以上のものを生み出させるまでよ!毛利!俺ァあんたの事も許す事にする!」
「な…ッ」
「…あんたも、大谷と同じようなところがあるってのは分かったしな。今こんな場で死なれても夢見が悪ィ!」
長曾我部はふん、と鼻を鳴らすと毛利に向かって手を突きだした。
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