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もうお前を離さない348

「貴様に何が分かる!我は間違っておらぬ!」
「分かりたくもねぇな!アンタみてぇな野郎の事なんざよぅ!」
長曾我部はそう言い返すと拮抗していた破槍を振り上げ輪刀を弾き、後ろに跳躍して距離を取った。
「白日の下にその腸を晒すがいいッ!!」
毛利は長曾我部目がけて技を放った。長曾我部は破槍を振り回してそれを弾き、にやりと笑った。
「どうした、いつもの氷みてぇな顔はどこ行きやがった」
「貴様ぁ…」
「はいはーいそこまで!邪魔しますよ!」
その時、漸く坂の上に到着した宮野が、ぱん!と手を叩いて2人を止めた。毛利は不愉快そうに宮野を一瞥し、長曾我部は宮野に視線を向けた。
「毛利は許さない事にしたんですか?長曾我部」
「…どーだろうな…ここに来る前はそれでもいいと思ってたが、どうにも本人を前にすると落ち着いていられなくてなぁ」
「…何ぞ貴様は……」
「そういえば初めましてですね。武田軍の宮野っていいます」
毛利は宮野の言葉に更に眉間を寄せた。
「武田だと?瀬戸内に全く関わりのない武田の者が何の用ぞ」
「貴方と話をしにきました」
「我には貴様と話すことなどない」
毛利がそう言うと毛利軍の兵士が一斉に弓矢を構えた。後ろにいた真田は宮野を庇うように宮野の斜め前に立ち、後ろにいる石田、徳川、伊達もそれぞれ身構えた。
「…?戦が急に止んだと思えば、石田は徳川と和睦したか」
「毛利ぃ…!」
「我が貴様に非難されるいわれはないわ。所詮貴様の想いなどその程度であったのだな」
「!!貴様ぁぁっ!」
「み、三成さん落ち着いてください!」
「何ぞ、女にほだされたか」
「斬滅するぞ貴様ァァァァッ!」
「三成さーん落ち着いてくださーい。それから毛利も、あんまり煽らないでください、面倒なんで」
宮野はそう言うとにっ、と笑った。毛利は不愉快そうな顔色を変えない。
宮野は笑んだまま、目を細めすまなそうに毛利を見た。
「貴方にはちょっと酷い事します。先に謝っときます」
「何…?」
「アニキー!!東から軍勢が!」
「なんだと?」
ざわ、とその場に騒めきが生じる。宮野は1人手を目の上にかざしてその軍勢を眺めた。
「来ましたね」
「待って黎凪まだなんかしてたの?!」
驚愕した村越の声に宮野はくすりと笑う。
「あの軍勢は、南部、姉小路、前田、そして上杉軍ですよ。まぁもしかしたら最上も混じってるかもしれませんね、ここにいませんし」
「!上杉殿が?!」
「利が…?」
真田と前田は驚いたようにその軍勢を見つめた。
伊達は宮野の言葉に肩を竦めた。
「…狐のオッサンなら東軍の本陣に縛り付けてあるぜ」
「わー酷い事しますね」
「前田家を脅迫していた事を慶次に教えてもらったからな。まぁあれくらい優しいもんだろう?」
「わぁ黒権現招来」
「く、くろごんげんっ?」
「しかし…南部と姉小路…もだと?」
「…貴様、」
その時初めて毛利の表情が曇った。宮野は薄く笑ったまま毛利を見た。
「こっそり上杉殿に頼んだんです。東の方々と兵を挙げるように」
「…酷い事というのはこの事か」
「ほぇ?」
「…幸村そんな間抜けた声出さないで…。さっき言ったでしょ。関ヶ原の地には全国の主要な武将が揃い踏みだ、って。皆西軍あるいは東軍に属しているから、毛利の敵。長曾我部と黒田も毛利の敵。そして私は上杉殿に、毛利に対して兵を挙げるように頼んだんだ」
「…!」

「今、この国の侍達は皆貴方の敵となった」

宮野はそう言って笑った。
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