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もうお前を離さない341

正確には、何かに追われ追っていた。
宮野の死を確認していた真田と村越はぽかんと宮野を見つめた。
「…ぃおいおいおいおい!死んだんじゃなかったのか?!」
「え…確かに脈止まってました!」
「冷たかったでござる!」
「…ならばあれはなんだ?!」
「…お化けか…?」
「?家康…何を怯えている?」
「!!だだだってだって…忠勝ー!」
「!!!!!!」
「お、竹千代復活」
「ってボケてる場合じゃないでしょう!」
ぎゃーぎゃーと騒いでいた徳川等だったが、村越の言葉に真田ははっ、と我に返り地面を蹴った。
「黎凪ぁぁぁ!!」
「?!何!!誰か呼んだ?!只今手が離せないので名乗ってください!」
後ろから叫べば、宮野は振り返らずにそう答えた。
力強い返答があったことに、真田の目尻が僅かに熱くなる。
「黎凪!俺だ!」
「…。幸村!わぁ、無事でよかった!でもちょっと危険だから下がった下がった!」
「危険?!」
宮野は真田の姿を認めるとほっとしたように笑い、真田に駆け寄ると真田を下がらせた。
真田はその時、宮野が追い追われていたものの姿を見た。
「火の玉…ッ?!」
「うおわぁっ?!」
「…だから何を怯えている?」
「家康…」
本多にしがみつく徳川を伊達は呆れたように見ながら火の玉へと視線を動かした。
村越は石田にしがみつきながら、火の玉を見た。
「ななな何あれ…」
「Hey,宮野。アンタ大丈夫なのか?」
「あぁはいーまぁー」
「宮野殿…それは一体?!」
「黎凪…。危険…なのか?」
「うん、危ない。あ、話し掛けてくるけど全無視でいいから」
「話し掛けてくる?」
『何人も誑かしてなんて情けない子なの!』
「?!」
火の玉が不意に発した言葉に真田は驚いて火の玉を見た。村越の目は驚愕に見開かれ、そのまま固まった。
宮野はちっ、と舌打ちすると持っていた刀を火の玉へ向けた。
「うるせーな。誑かしてなんかいねぇよ」
「!」
「素の奴は口調悪いな」
「!ま、政宗殿…」
『誑かしていないのなら騙しているのよ!卑怯な女!!』
「騙してもいない。なんでそうなんだよ」
宮野はそう言いながら地面を蹴り刀を突き出した。火の玉は素早く飛び退き、少し離れた所でふよふよと浮いていた。
『人の生き方に口出しして狂わせて不幸にしているのよ!さっさと死になさい、この死神!』
「なっ…貴様次から次へと…!」
「あぁ確かに口出ししたさ。誰にも後悔してほしくないから。これ以上苦しんでほしくないから」
「…!」
『苦しんでほしくない?何をぬけぬけと!アンタの後ろにいる黄色い男も青い男も紫の男も、アンタの隣の赤い男も芽夷ちゃんもアンタが苦しめたじゃないの!』
「はぁ?何言ってんだアンタ」
ずけずけとそう言う火の玉に伊達が前に出た。石田も不愉快そうに火の玉を睨み、徳川は本多の上から降りて僅かに火の玉に近寄った。
「貴殿が誰かは知らないが、ワシは苦しめられた覚えはないぞ。寧ろ、ワシは感謝してる」
「徳川家康…。…そういやなんで一緒にいるの?」
「宮野殿。君のおかげだ。…三成と和睦出来た」
「え?!あ、そーなんですか?!いつの間にそこまで進んでたんだ…」
「…そういう訳だ。彼女は貴殿が思っているような人ではないぞ」
徳川はそう言うと火の玉を睨んだ。火の玉は不愉快そうにぶるぶると震える。
『うまいこと騙したものね黎凪!!アンタの理想郷は出来上がってたってワケね!』
「…アンタ、少し黙りな。不愉快だぜ」
伊達は苛立ちに目を細め、刀に手を掛けた。
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