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もうお前を離さない356

「黎凪……?」
「……………」
宮野は真田に気が付かないまま、しばらく目を伏せた後にふいと真田に背を向けた。
「あ、黎凪…」
「おい。毛利はこれでいいとして、こいつはどうする」
「ひぃぃぃぃぃぃっ!!」
「ん?あぁ金吾か。すっかり忘れていた!」
「…本音が漏れてるぞ家康……」
石田達の声に宮野はそちらに向かってしまい、真田は声をかけるタイミングを見失ってしまった。
「……うーん…どうしようか?咎めなし、…は、お前が納得出来ないな」
「当たり前だ!」
「ひぃぃぃぃぃぃっ」
徳川が石田をちらり、と見て言った言葉に小早川は震え上がった。
その輪に混じった宮野は、ふむ、と顎に手を添え呟いた。
「…どうせこの後宴会になりますよね?」
「うん?」
「…なるだろうな」
石田の言葉に宮野はぽん、と手を叩いた。
「じゃあ小早川殿はその準備係って事で。鍋でいいんで全員分作って、宴会終わったら片付けしてください」
「えっ?……う、うん…?」
「…面倒な仕事を任せるという事か?」
「皆疲れてるから、自分の分はともかく他人の分の用意なんてしたくないでしょう?」
宮野はにっ、と笑ってそう言った。
「じゃ、鍋任せます。あ、でも具材はちゃんと切ってくださいよ!」
「…そんな事より宮野殿達は手当て!傷の手当てをしないと!!」
「え?あーそうですね」
「あ、私は三成さんがしてくれたので大丈夫です…」
「あれ!?いつの間にしたんだ?!」
「火傷を放置しておけるか」
「あははは!本当にまぁ、いい夫婦だねぇ」
「「!!」」
宮野の言葉に、かぁぁ、と2人の顔が赤くなった。お、と徳川の目が楽しげに光る。
「お?三成、顔が蛸みたいだぞ」
「黙れ家康っ!!」
「そういえば刀の鍔、1つしかないと思ってたら片方は彼女に渡していたんだな。三成お前…!」
「いぃえぇやぁすぅぅぅぅっ!!そんな目で私を見るなぁぁぁッ!!」
顔の赤さが更に増した石田は、刀を鞘に収めたまま振り回し、逃げた徳川を追い掛けた。
「あはははは」
「黎凪…大丈夫?」
「ん?大丈夫だよ」
からからと笑う宮野に村越はそう尋ねたが、宮野はさらりとそう返した。
村越は僅かに目を伏せると、宮野をぎゅう、と抱き締めた。
「…ありがとう。そしてごめん」
「なんで謝るのさ」
「…ううん、いいの。じゃあ、私2人止めに行くね」
「頼むねー」
村越と別れた宮野は、くるりと踵を返して今度は毛利達の方へ走っていった。
真田はぐ、と拳を握り、ただそんな宮野を見つめた。
「あーもー!早速喧嘩しないで下さいね?!毛利殿も、宴会には来てもらいますよ!」
「ちっ」
「舌打ちしないでくださいね?長曾我部殿はこの富嶽燦式なんとかしてください」
「なんで名前知ってんだアンタ!」
「いいから早く!次、黒田殿ー?!」
「なんじゃあ!人を大声で呼びなさんな!」
「…えーと。枷は後でなんとかするので黒田殿はそのまま待機でお願いします」
「何故じゃぁぁぁぁっ?」
「さて、次は、と」
宮野はふぅ、と息を付くと、真田の視線に気が付き真田を見た。
「?どうしたの幸村」
「…指示は後にせよ。先に手当てをするぞ」
「え?いや、平気」
「いいから来い!」
真田は思わずかっとしてそう怒鳴ると、ぽかんとしている宮野の腕を掴み、武田軍の陣営へと歩きだした。
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