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もうお前を離さない345

「みっ?!三成様、「私は、…家康と和睦する事となった」
石田の言葉に石田軍の兵士は息を呑んだ。石田はぐ、と拳を作る。
「三成様…」
「家康が秀吉様の御仇である事は変わりはしない。だが、…今私が為すべき事は、秀吉様の仇として家康を追い殺すことではなく、志半ばで倒られた秀吉様の意志を継ぐ事だと考えた。…家康を許すのはその為だ。…私の我儘に巻き込んだ事、謝罪する。すまなかった」
石田はそう言うと膝の上にあった手を地面につけ、頭を下げた。どよめきが石田軍に広がる。
徳川はそんな石田の後ろ姿を見て、僅かに顔を歪ませた。
「…頭をお上げくだされ三成様!」
「三成様の御意志は我らの意志!我ら石田軍は、三成様に従いまする!」
「そうでござりまする!!三成様、頭をお上げくだされ!」
「…貴様等……」
石田は予想と反していたのか、驚いたように自軍の兵達を見た。石田の様子に石田軍の兵達は呼応するように頷いた。
「…そうか……。…感謝する」
「!!も、勿体ないお言葉…!」
「……」
「三成さーーん!!来ましたよーーー!!」
「!」
宮野の怒鳴るような大声に石田は眉間を寄せ、振り返った。
「うおぉ毛利がッ!」
「陣に戻っていろ。戦はこれで最後だ!無用な死は出すな」
「は…はっ!!」
「…行くぞ家康」
「………あぁっ」
石田は徳川をちらと見て促すと地面を蹴った。徳川もそれに続いた。

 「あ、いたっ!」
「大谷さんッ!!」
「?!…主ら生きておったのか…」
一足先に毛利軍と相対していた時、村越と宮野は大谷の姿を見つけた。進行する毛利軍を少数の兵と共に食い止めており、あちこちに血が滲んでいた。
「何やってんですかバカなんですかバカなんですねバカなんですよ1人で何やってんですかバカですか死んだらどうするんですかバカめ三成さんに怒られますよこのバカ谷さんっ!」
「…今何度我をバカだと申した…?」
「あぁ、芽夷は怒るとバカを連呼するクセありますから。そんな事より大谷さんは真面目に下がってください!ぼろぼろじゃないですか」
「奴だけは許す訳にはいかぬのよ…!」
大谷は腕を引っ張る村越と宮野を無視して毛利軍に向き直った。宮野ははぁ、とため息をついた。
「気持ちは分かりますがね。…三成さんと徳川、和睦しましたよ。西軍と東軍の戦いは終わりました」
「!しやったか…」
「てなワケで、毛利もこっち側に引きずり込みます。申し訳ありませんが、討つのは止めてもらえますか」
「何?」
「!で、出来るの…?」
不可解そうな大谷と不安げな村越の視線を受けながら宮野は毛利軍を見据えた。
「1つ条件をクリア出来たら、出来ると思う」
「条件って…?」
「黎凪!」
真田が3人を見付け、毛利軍を弾き飛ばしながら駆け寄ってきた。その後ろには伊達もいる。
「大谷殿、ご無事で何よりにござりまする!」
「お。兵が陣に戻ってくぜ」
「先程走られたのはそういう訳でござったか、三成殿!」
「次から次へと…何事よ?」
真田と伊達が共戦しているのを見て、大谷は小さくため息をつきながらそう尋ねた。
伊達はにやと笑って大谷に視線を向ける。
「詳しい話は後だ、後!で、アンタはどう説得するつもりだ?宮野。野郎は一筋縄ではいかないぜ」
「ねぇ黎凪、条件って何なの?」
「あぁん?なんだそりゃ」
迫ってきた毛利の兵を凪ぎ払いながら、伊達は不可解そうに村越を見た。
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