スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング60

「…家康よ、何があった。それに隣の男は…?」
秀吉はぽんぽんと石田の背中を叩きながら、入口にいる家康に対しそう尋ねた。家康ははっ、としたように秀吉に駆け寄る。大谷もふよふよとそれに続いた。
「細かいことはこの前お話した通りです。それで、今朝家の周りに怪しい男達がいて」
「あぁ、吉継君の予想が当たってしまった、ってことかな?」
半兵衛がぽん、と手を叩いてそう尋ねると、家康は小さく頷いた。
「たぶん…現に官兵衛さんがそいつらに撃たれて」
「えっ大丈夫なの?」
「麻酔銃、とかいうの奴らしくて…」
「じゃあ大丈夫かな…っていうかこの子はともかく、君たちどっから入ってきたの」
「あ、この人の力を借りて屋上から」
「そういえばなんか浮いてるね。君は?」
「ヒヒッ、大谷吉継と申す者…竹中半兵衛殿とお見受けする」
「へぇ、僕もいるんだ」
半兵衛はじろ、と大谷を見たあと、石田に倒され床に倒れふす男たちをじとりと見下ろした。
「ところで、と。じゃあこれもそれの仲間?」
「多分…吉継さんは彼らの狙いはワシと三成じゃないかって言っていて…」
「だから君に一番関わりの深い秀吉が狙われた、と」
「…………ッ」
「君が責任を感じることではないよ、家康君」
ぐ、と拳を握り締めた家康に半兵衛はぽんぽんと頭を撫でた。むぅ、と家康は納得いかなさげに眉根を寄せたが、反論はしなかった。
石田はぐい、と目もとを拭うと、秀吉の腕の中から抜け、その場で膝をついた。
「…秀吉様、この場にして、失礼させていただきます」
「…一つよいか」
「なんなりと」
秀吉は、すぅ、と目を細めた。

「生きよ、三成」

「……ッ」
「よいな」
「………はっ!!」
秀吉の発した言葉にびくり、と石田の体が揺れたが、念を押すように続いた言葉に、遅れながらも力強く返事をした。
石田は膝をついたまま頭を下げると、すっくと立ち上がり大谷に視線を合わせた。大谷は小さく頷くと、石田が破壊した窓から外へと出た。石田はそれに続くように窓から飛び出し、大谷の輿に飛び乗った。
「ではな。あとは主に任せるぞ」
「あぁ。…そちらも気をつけて!」
「ふん。行くぞ刑部!」
「あいあい」
大谷はヒヒッ、と小さく笑うと輿を空へ向けて急上昇させ、薄暗い夕方の空の中に消えていった。
窓辺にやってきた半兵衛は、片手を目の上に当ててそれをみあげる。
「これからどこ行くの、彼ら」
「狙ってきた奴らはどうにも密かに話を進めたがっている。ここの病院にしろ、こんな奴らが入り込んでだり凶王さんが窓を割ったりしたのにまだ誰も来ない。ならば、いっそのこと」
「派手な騒ぎにしてしまえ、と?危険じゃないかな」
「勿論リスクはあると思う。でも、このまま静かにしていたら消されかねない」
「…あの子、三成君には悪いけど、三成君よりはるかに強い」
「!」
「あれだけ強かったら、案外悪くない作戦かもしれないね」
「……」
家康は二人が消えた空を見上げ、ぎゅ、と拳を握り締めた。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28