スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング41

「西海のは四国を治めている人間らしくてな。だがある時、西海が旅に出て帰ってきたら、部下は全滅、領地が壊滅していたんだと」
「お、おう…」
「…噂では、その浜辺に、徳川の家紋のある旗が落ちていたそうだ」
「!じゃ、じゃあ留守の間に…奇襲したってこと?」
「の割には仲良さそうだったし、独眼竜も仲直りしたのかって…。…石田の言う、刑部さんが騙くらかしたってのが、それ?」
「そうかもな。虎若子は西海についちゃよく知らねぇらしいが、権現はそんな事する奴じゃないってよ」
「…………」
家康は官兵衛の言葉に僅かに目を見開き、どこか不満げに表情を歪めた。政宗はちら、とそんな家康を見たあと、ふーん、と呟いた。
官兵衛は机にもたれかかるように肘をついた。
「……西海の鬼の態度を見る限り、解決しちまったみたいだよな。多分、刑部とやらがついてったのは西軍側の人間がいないところに西海を一人にしたくなかったからじゃろ」
「…そういえば、三成が言ってた……」
「?」
ぽつり、と家康が呟いた。政宗は不思議そうに家康を振り返る。
「三成は、今までの話…西海の揉め事のこと、ほとんど見抜いてたんだ。推測でしかないって言うから、ワシも話半分に聞いてたけど…そういえば…。刑部さんがそんなことをしでかしたのは、権現に敵を、凶王さんに味方を作るためなんだ、でも解決してしまったってなったら……」
「全く逆の結果、凶王に敵が増えるな」
「…ちょっと待て、揉め事持ち込まないっつってたくせに揉めた西海だぜ、首謀者と一緒にしちゃ……」
「平気だろ」
慌てたように腰をあげた政宗を、官兵衛は手で制す。驚いたように自分を見る政宗に、官兵衛は肩をすくめた。
「吉継は馬鹿じゃない。戦争に限れば、刑部とやらならば尚更だ。…仮に、西海が二度も揉めるような馬鹿なのだとしたらまた話は別だが……信玄のとこだろ?なら平気だ」
「なんで、」
「信玄はああ見えて元レンジャーだ、武器のないあいつらなら問題ない」
「マジでー!?!」



 「……………」
その頃渦中の人、長曾我部は時折大谷を見つめながらも、揉めることなく仕事をこなしていた。伊達と徳川は事情を知っているからか、何も言わない。
「…おい、なんだあの険悪な雰囲気は」
「………雑賀の調べでは、首謀は刑部なんだそうだ」
ひそ、と小さな声で尋ねてきた伊達に、徳川は正直にそう答えた。
四国強襲、徳川の仕業に見せかけて実際にそれを計画したのは大谷と毛利であった。実行犯は、黒田だ。
伊達は、はん、とどこか馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
「全く西海の鬼はダメな奴だな。殺気ダダ漏れじゃねぇか、まぁそれに気付いてて平然としてる野郎も大したもんだけどな」
「…正直ここでは問題を大きくしたくない…匿ってくれている彼らをも巻き込みかねない」
「間違いなく巻き込むに決まってんだろ」
「………」
ずけ、とそう言い切った伊達に、徳川は困ったように笑った。そんな徳川に伊達は肩をすくめる。
その時、黙って様子を見ていた信玄が近付いてきた。
「揉め事か」
「Ah?…まァな。あとは落とし前つけるだけだがな」
「………」
「……三成から一つの話としては聞いていたが、まさかのう」
「?どういうことだ」
信玄の言葉に伊達は眉間を寄せた。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28