スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング59

「……三成、君………?」
その他の男も瞬く間になぎ倒し、その病室は3分もしないうちに石田によって制圧された。半兵衛は秀吉を庇うように立ち上がりながら、恐る恐るそう尋ねた。
半兵衛の声にはっ、と我に帰った様子の石田は半兵衛達の方を振り返り、フードを下ろしてその場で膝をついて頭を下げた。
半兵衛は石田の行動に首をかしげたが、秀吉は薄く笑った。
「…家康から話は聞いている、石田三成よ」
「…ー!」
秀吉が声を発すると、びくっ、と石田の肩が跳ねる。半兵衛は、あぁ、と小さく呟いた。
「…戦国時代から、っていうあの?」
「………」
「頭をあげてくれ。それから、近くに来い、三成」
「!は、は…ッ」
石田は戸惑ったように顔をあげた後、恐る恐る立ち上がった。半兵衛はそんな石田の反応が面白かったのか、ふふっ、と小さく笑うと石田の腕を掴んで引っ張った。
「!!!は、半兵衛様、」
「わぁ、アホな女の子以外に様なんて呼ばれたの初めてだよ。ほら座って座って」
「い、いやしかし、あの、」
「僕も座るから、ね?ふふっ、何この子可愛い。三成君以上に可愛い」
「……あまり遊んでくれるな半兵衛…」
秀吉は楽しそうな半兵衛に困ったように笑った後、石田を見た。石田は緊張した様子を見せながらも、背筋を伸ばし秀吉に向き合った。
「お前が来てくれて助かった、礼を言う」
「!も、もったいないお言葉…!」
「何か礼に渡せれば良いのだが、今は入院の身だからな…」
「そんなものは…!」
「おやおや、褒美は素直に貰うべきだよ。秀吉に恥をかかせる気かい?」
「!!!そ、そんなことは…!」
「はーんーべー」
「はいはい、ごめんよ」
ちょいちょい石田で遊ぶ半兵衛をじとり、と見てやめさせた後、秀吉は困ったように笑った。
「…我は貴様の主である我とは違うか…我に欲するものはあるか」
「……ならば…一つだけ…」
「ん?」
石田は僅かに顔を下に向け俯くと、ぽつり、と絞り出すようにそう言った。秀吉は静かに先を促す。ちょうどその時病室に家康と大谷が到着したが、半兵衛が口元に指立てて、しぃ、と合図した。
石田はぎゅ、と拳を握り締めた。
「どうか私に…許しを乞う許可を……!」
「………」
秀吉は僅かに驚いたように石田を見たあと、入口にいる家康に気が付いた。家康はぐ、と洋服の裾を握り締め、小さく頷いた。
秀吉はふっ、と小さく笑うと僅かに体を起こし、石田の肩に触れた。石田がそれに抵抗するまもなく、秀吉は石田を自分の方へと引き寄せ、ぎゅうと抱きしめた。
「!!!!ひひひ秀吉様ぁっ?!!?!」
石田の顔が混乱からか赤くなったり青くなったりする。半兵衛は石田の反応にぶっ、と吹き出し、顔を背けると肩を震わせて笑っていた。家康と大谷は驚いたように秀吉を見る。
秀吉は片手で、ぽんぽんと石田の背中を叩いた。
「…貴様が許しを乞うべきことなどない。恐らく貴様の主である我もそう言うだろう」
「!!」
「我は貴様を止めぬ。貴様の意思で進んでみよ。結果がどうであれ、それが意志を継ぎ貴様が選んだ道ならば、たとえそれで豊臣が滅びようとも何も言わぬ。…我ならば、そこで貴様を責めるような小さき男ではないはずだ」
「……!…ひ、ひでよしさっ、まぅ、」
「よく耐えたな」
「…ぁ、あぁあぁぁあっ…!!」
石田の目から、静かに涙がこぼれた。その頃にはもう笑っていなかった半兵衛は、小さく笑って静かに石田の頭を撫でた。
家康も拳で目もとを拭った。大谷はすぅと目を細め、慈愛を含んだ眼差しで石田を見つめていた。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28