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聖なる夜のハプニング45

「すまん政宗…!先に帰ってくれてよかったのに、」
「そうも行くかよ、石田に殺される。独眼竜と権現も帰ってきてるだろうが、鍵渡してあるし…石田から電話あったんだろ?家まで送るぜ」
「いや、三成と途中で落ち合って食材買ってくからいいよ、この借りはいずれ返すよ……!」
「なぁ、」
ばたばたと慌ただしく長屋を出ていこうとする二人を、玄関で長曾我部が引き止めた。政宗は不思議そうに振り返る。家康は振り返らない。
「…家康さんよォ。感情が一致したってのは…」
「…貴方には関係ないよ」
「おい、」
「貴方は、権現の友人だったそうだな、凶王さんから聞いた」
家康は長曾我部の言葉を遮るように、振り返ってそう言った。家康の表情は硬い。
「…そうだ」
「でも信じなかった」
「!アンタ、」
長曾我部は驚いたように家康を見た。家康は冷たい眼差しで長曾我部を見据える。
「貴方と彼の絆は、その程度なんだな」
「ちょっと待て!」
「戦乱の面倒くささは大体分かった、その上で言ってる。……、ワシは凶王さんに貴方たちの揉め事は話していないし他の話も特にしていない。ワシは話を聞いただけ…」
「……アンタ、石田に同情してんだろ」
長曾我部は廊下に誰もいないことを確認すると、家康に向き直りそう言った。政宗はそわそわと二人を見やり、家康はじっ、と長曾我部を見据える。
「…同情?違うさ。それをいうなら同情しているのは貴方じゃないのか」
「なっ…?!」
「こちらに揉め事を持ち込みたくないなんて最もな理由を掲げるくらいなら真相を話した方がいいんじゃないか?ずるずると関係を続けるのは凶王さんをより苦しめるだけだ。……貴方がそうしたいなら勝手だけどな」
「そんなつもりはねぇ!揉め事を持ち込みたくねぇのは事実だ、迷惑をかけるわけには行かねぇ。それと石田とはまた話が別だ」
「……」
「…家康、やめとけ。お前が凶王さんのこと思うのは分かるけど、俺らはどう足掻いても部外者だ……今の中途半端な状態で、それ以上の口出しはよくねぇと思うぜ」
黙ってみていた政宗だったが、そう口を挟んだ。政宗の言葉に家康は僅かに眉間を寄せる。
「…分かっているさ、まだワシが知らないことも沢山あるって…」
「だったらなんで口出す。中途半端なそれは、結果を悪化させるだけかもしれねぇんだぜ」
「ワシはな、政宗。官兵衛さんやお前のように、よその世界だからと割り切ることができないんだ。…それに…その人がいい人間だったらたとえ悪いことをしても許される……そういうのは大嫌いなんだ!」
「家康、」
「権現は間違ったことをした!それがアイツがいい奴だから、戦乱のなかだからって、許されるっていうのは許せないんだ。……凶王さんが三成似ているからってだけでこんな行動しているわけじゃない」
家康の言葉に政宗は困ったように眉根を下げ、小さくため息をついた。
「そうは言ってもよ、戦争なんだぜ。戦争っちゃあ、略奪強盗強姦は当たり前の話、裏切りなんてごろっごろある話だ」
「それを認めていいのか?!」
「それが人間の限界なんだろ。お前の言いてぇことは分かる、俺だってこんな開き直りみたいな言い方はしたかねぇ。だけどな、戦争やってる時点で皆狂ってんだよ!そこに、善悪はねぇ、正義なんてねぇんだよ!」
「……!」
長曾我部は政宗の言葉に大きく目を見開いた。家康もわずかに驚いたように政宗を見ている。
「家康。俺だってな、割り切るなんて出来てねぇよ。俺は、こいつらが怖くて仕方ねぇんだよ…!戦争中だってのに平然としてるこいつらが、怖ぇんだよ!だから関わりたくねぇだけだ!」
「政宗…」
「お前の気持ちも分かるし、俺だって見過ごしたくねぇ、でも…」
政宗は、ぐ、と拳を作った。
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