スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング48

「……あの人、思ったより物分かり良い人だったよ。西海の鬼の揉め事も、薄々感づいてる所があったし」
「そうなのか」
「あぁ、それに三成以上に秀吉先生に惚れ込んでるみたいだ」
「…そういえば……凶王の主、だったか。肉はこれでいいか」
「そう。うん、それでいいんじゃないかな」
三成は手にとったそれをカゴに入れながら家康を振り返った。じっと自分を見る三成に、家康は不思議そうに首をかしげた。
「…なら、凶王の復讐を止めようとするのはよくないな」
「え?」
「家康、お前は凶王の復讐を止めたいんだろうが…復讐心というものは、他人の力だけでは消せないものだ。…秀吉先生を裏切って殺したとなれば、尚更な……」
「…………駄目かな…。復讐って、成してしまったら虚無感しか残らないって、三成いつも言うじゃないか」
「駄目とは言わない、だが…今の奴は、そうして死んでしまった方がいいのではないかと思えるくらいには追い込まれている。…復讐はいわば今の奴の逃げる場所なんだ、それを奪ってしまったら生きながら死ぬ」
「……じゃあどうやったら助けられる?復讐をさせても、助けられないじゃないか…」
家康の言葉に三成は目を細め、小さくため息をついた。家康ははらはらとしたように三成を見つめている。
「…奴自身にやめる気を持たせる他ないが、難しいだろうな。西海の鬼の事にも気付き始めているのなら、また裏切られたのかもしれない、自分が裏切りに加担してしまったのかもしれない、そういう恐怖の中にあるはずだ」
「…!加担したってなんでだ?」
「吉継が刑部が加担していたことはそれとなく仄めかしている。刑部がそんなことをするのは、自分が関わっているといくらなんでも気がつく。…自分も刑部がした西海の鬼への裏切りに、加担しているのだとな」
「…じゃ、じゃあ発覚したら…」
「……西海の鬼に、自分を殺せとでも言うかもしれないな。西海の鬼にそんなことが出来るようにも見えないが…そこで殺されなかったら……無気力のまま生きるのだろうな」
「……じゃあどうしようもないじゃないか…!」
顔を青くさせる家康に、三成はレジに向かいながらふむ、と小さくつぶやいた。
「あぁ、もう私たちではどうしようもできないだろう。…先生に会えば、もしかしたら」
「!」
「逆効果になる可能性も無くはないが…会わせるのは正解だと思うぞ」
「………救えるかな」
「どうだろうな。どうあがいても救えない奴はいる」
「……そうかも、しれないな…」
家康は僅かに視線を落とし、隣を歩く三成の腕に抱きつくようにしがみついた。



 「あっ……頭が……痛いでござる………うおおおおああああ」
「…おい、武田の。大丈夫かお前さん…」
それから少しして、黒田が部屋に入ると真田が床に突っ伏して倒れていた。ぬおおうおおと小さく呻き続けている真田に流石に声をかけた。
真田は黒田の声に、うぬぬ、と呻いた。
「昨晩…おーたにどのと……酒盛りを…」
「はぁ?酒…?そんなになるまで飲んだのか」
「………いかにも……お話を聞いて頂いているうちに……」
「話、ねぇ。何をそんなに話しとったんじゃ」
黒田の言葉に真田は顔だけ黒田に向けた。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28