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聖なる夜のハプニング47

「今日も朝からずっとヤスと話してたみたいだしよ。存外素直だぜあの人」
「!彼女と?!」
驚いたように政宗を振り返った徳川に、政宗は肩をすくめた。
「だから、素直だっつってんの。豊臣秀吉を悪人扱いすっからあの人も話聞かねぇんだよ、分かるだろそんくらい。話聞いて欲しかったら多少のお世辞は必要だって」
「悪人扱いするなって言われてもなァ…」
呆れたような顔をする伊達に、政宗はわずかに驚いたように伊達を見、そしてにやりと笑った。
「んだよ、人殺してる時点でレベルは同じくらいだろ」
「、だからな!」
「なら、そいつや凶王の人殺しは間違いで自分の人殺しは正しいとでも言いてぇのか?随分と横暴な理論じゃねぇの。ヤスと喧嘩になるぜ ?」
「…、……テメェは何が言いたい」
伊達は一旦目を伏せた後、冷静な眼差しで政宗を見据えた。政宗にもその真剣さが伝わったのか、政宗は持っていた包丁を置いた。
「…チャールズ・チャップリンっていう、俺の尊敬する喜劇俳優がいるんだけどな。その人の作品の、殺人狂時代っていう作品の中の、死刑になる殺人犯の言葉にこんなのがある。一人殺せば悪党で、百万人だと英雄だ、数が殺人を正当化する、ってな」
「…それは……」
「……俺たちは自分の事を英雄だと思っている……そう言いてぇんだな」
「……そうでも思ってなきゃやれねぇだろ。悪い事やってると思ってんなら豊臣を批判なんて出来ねぇはずだ。……アンタ達は、いつからか自分を正当化してんじゃねぇのか」
「……仮にそうだとして、なんなんだ」
政宗は置いておいた包丁をまた持った。
「そんなんじゃ、いつまで経っても戦争終わらねぇよ。だって間違っている認識がねぇんだもん、終わらせられるわけねぇよ」
「…だけど……」
「もう始まっちまってたもんは、確かに戦わなきゃなんねぇのかもしんねぇ。…でも、俺にはアンタらが望んでない戦いをしているようには見えねぇぜ」
「…………」
「…………」
伊達と徳川は政宗の言葉に黙って顔を見合わせた。政宗は二人の様子に、視線を落としてまな板の上の長ネギに包丁を落とした。
「… ッあー……何ていうか………始まっちまったもんにはケリつけなきゃなんねぇと思うけどさ……アンタら本当にそこで終われんの?」
「…終わらせるさ。その為にあげた拳だ」
「!家康……」
徳川の言葉に政宗はわずかに驚いたように徳川を見た。徳川は真っ直ぐ政宗を見据えた。
「覚悟の上だ。秀吉公に反旗を翻したのも、その為だ」
「………お、おう…そっか」
「意外か?」
「まぁな。……そう思ってるようには見えなかったぜ。アンタ、嘘つくの得意なんだな」
「嘘なんて、」
「ヤスはそう思ってねぇよ、きっと。…ヤスとちゃんと話した方がいいんじゃねぇの?あんたも」
「……そうかもな」
「まっ、その辺のやりくりは俺がしてやるよ、なんか誤解してたし、その辺の侘びも兼ねてよ。取り敢えず飯にしようぜーきりたんぽ鍋」
「おお!美味しそうだな!」
「…………」
伊達は徳川と政宗を見ながら、訝しげに目を細めた。


 「凶王と話した?二人きりで…?」
「…二人というところは謝るよ……そんな怖い顔しないでくれ、そういうことは何もないから」
「…それで、何か分かったのか」
バイト帰りの三成と近くのスーパーで落ち合った家康は昼間の話を三成に報告していた。三成は食材を手にとって物色しながら、そう尋ねた。
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