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聖なる夜のハプニング42

信玄は三成にあらかじめ聞かされていたことを話した。その内容に、二人は驚いたように目を見開く。
「ちょっと待て、なんでそこまで分かる!」
「あやつは昔、親の顔を伺って生きておったからな。人を観察する眼に長けておるのよ」
「…あれだけの対峙でそこまで見抜くか……」
「にしたって…」
「それだけお主らが分かり易いだけではないかのぅ」
「Ah?!」
「はっはっは、そう怒るな」
信玄の言葉に怒りをあわらにする伊達に、信玄は快活に笑う。向けられる殺気に全く怯まない信玄に伊達の方が怯み、ちっ、と舌打ちした。
徳川はちら、と長曾我部を振り返った後、信玄に向き直った。
「……貴方は、ワシはどうするべきだと思う、信玄殿」
「何故わしに聞く」
「いや…そうだな。誰かの意見が聞きたいのかもしれない」
「三成の話が全てならば、お主にできることなど何もないだろう」
「!」
実に、心底不思議そうにそう言った信玄に、家康はわずかに息を呑んで視線を揺らした。伊達も表情を険しくし、二人のやりとりを見ている。
信玄は不思議そうなまま、腕を組んだ。
「お主が何かしたところで、何か事態が良い方向に進むか?そんなことは何一つない。むしろ、お主と凶王とやらの仲の悪さを思えば、お主が今回のことに進んで首を突っ込むのは凶王の首を絞め追い詰めるだけだろう。まぁ敵軍の大将だ、お主にとってはむしろよいのかもしれぬが」
「そんなことはない!!!」
声を荒らげ、勢い良く否定した徳川に、信玄は驚いたように徳川を見た。徳川の大声に長曾我部や大谷も振り返る。
信玄が何でもないぞ、と声をかければ、長曾我部は不思議そうに、大谷は何やら愉快そうな様子で作業に戻った。伊達はチッ、と舌打ちをする。
「…テメェはこいつがそんなこと望むやつだと思うのか」
「会って2日の人間に本質を悟れと申すか」
「あの女とは長い付き合いなんだろ」
「似ているから分かる、と?家康と昨日あれだけ喧嘩していたのだ、似ているとは思わぬわ。それに、仮に家康に似ていたとして、それはそれで大将としては実に頼りない話じゃのう」
「!」
言い返されてますます険悪な顔になる伊達に対し、徳川は最後の言葉に驚いたように信玄を見た。
「…何故だ?ワシは三成と戦うことに関して迷ったことはないぞ」
「相手を苦しめない戦いなどあると思うてか」
「………それはないかもしれない。だがワシは、相手を苦しめるために戦っているんじゃあない」
「ほう?………なるほど、お主の相手は凶王石田三成その者ではないのだな」
「………?何が言いたい」
徳川は信玄の言葉が理解できず、眉間を寄せそう尋ねた。伊達も分からないのか、視線を落とし考え込んでいる。
信玄は、ふっ、と薄く笑った。
「わしが言うたところで納得はできんだろう。自分で考えよ」
「………?」
「……どちらにせよ、お主がそう思うならばこれ以上は何も関わらぬことだ。凶王には会ったことがないから何とも言えぬが……」
「………そうか…」
「ほれ、話は終わりじゃ!キリキリ働けぃ!!」
「っ、いきなり大声出すな!!」
信玄はぱんと手を打って話を終わらせると、早々に事務所へ引っ込んでしまったのだった。
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