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聖なる夜のハプニング46

「………狂ってる奴は何をするか分からねぇ。石田だってそうだ。あいつは刀を持ってねぇし、お前の実力を考えりゃ何かあっても大丈夫かもしれねぇ……でも、俺は無理だ。俺には無理だ」
「………政宗」
「俺は狙い撃ちが出来るだけで、不良やってたが喧嘩も人並みよりちょっと強い程度だ。……チカだってそうだ、こいつらが相手となったら勝ち目はねぇ。俺は…まだ死にたくねぇしチカも失いたくねぇ、だから口出ししねぇと決めたんだ。逃げるためにな」
「……、すまん」
「謝ることじゃねぇよ。俺だって、お前くらい力がありゃ口出ししてたかもしれねぇ。俺の夢は、世界平和だからな。……だけど…今の俺にはまだ、力がねぇ。……それによ、ヤス」
政宗は一旦言葉を区切り、長曾我部を見た。迷っているようだったが、長曾我部を見たまま口を開いた。
「…間違ったことをしたっていうが、人殺しも間違ってるだろ。権現一人が間違ってる訳じゃねぇ、だろ?」
「……!」
「…そうだけど……」
長曾我部は僅かに戸惑ったようにたじろぎ、家康は僅かに視線を落とす。政宗は長曾我部を見る目を細め、家康に戻した。
「確かに、こいつらが果たして豊臣秀吉がやった事を堂々と悪だなんて言える立場だとは到底思えねぇし、それで権現が正義扱いされるのもふざけた話だよ。……でも、戦争ってそんな次元の話じゃないと思うぜ」
「……、そうかも、な…」
「……先生に会わせるのは反対しねぇけど……凶王の慰め方には気をつけろよ。別に、豊臣秀吉や凶王が正しいわけでもないんだからな」
「……………あぁ、分かってるよ」
「西海の鬼」
「…………」
「……、じゃあな」
政宗は長曾我部をじ、と見つめた後静かにそう言って家康と共に出ていった。
一人玄関に残された長曾我部はがしがし、と髪をかき乱すと、小さくため息をついて踵を返した。



 「アイムホーム。うわぁテレビ見てやがる」
それから少しして、政宗は家に帰りついた。リビングに入ると、既にひとっぷろ浴びた後らしい二人がテレビを見ていた。伊達は慣れたように、徳川は慣れていないようで恐る恐る画面に触れたりしている。
政宗は鞄を壁に掛けながら、はぁ、と感心したように息をついた。
「アンタ順応早ぇよなぁ、独眼竜」
「Ah?まぁな」
「こ、これ中に人がいるわけじゃないんだよな…?」
「そうだよ。そうだ、今日はどうだったよ?」
「……政宗。その事でちょいと話がある」
「あん?」
伊達は政宗の言葉にふと思い出したように顔をあげ、座っていた椅子を回転させて台所にいる政宗を振り返った。政宗は夕飯の用意をしながらも伊達を見た。
「…石田三成。あいつ、大した洞察力してんじゃねぇか」
「その話するってことは、なんか揉めたのか?刑部さんと」
「いいや、西海の鬼は我慢してた」
「あっそ。まぁそんな雰囲気なかったしな…てかマジでそうなのな」
「…は?」
「いっくらあいつの洞察力すげぇっつっても、あくまで推測だったし?そういうって事はマジなんだな」
「……チッ、なんかムカつく」
「悪い悪い」
政宗はからからと笑いながら水を張った鍋を火にかけた。がさがさと野菜室をあさり、いくつか野菜を取り出す。
「そんで?」
「…知ってるんなら話が早ぇ、お前はどう思う」
「は?何が。まぁ強いて言うなら、あんま部外者は挟まねぇで話進めた方が事が大きくならねぇんじゃねぇかとは思うぜー。凶王さん意外と真摯に話せば真面目に聞くタイプだと思うぜ?」
「………」
徳川は政宗の言葉に意外そうに目を見開いた後、す、と目を細めた。
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