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聖なる夜のハプニング50

「…どうせうだうだ言ったところで、どっち悩んでも後悔はするに決まっとる。小生はそんな悩むのはゴメンじゃ」
「……それも、そうですな」
真田は窓にもたれ掛かるようにして、視線を外に向け、しばらく夜風を浴びていた。黒田は布団に入るのが億劫なのか、毛布を体の上に引っ掛けて目を閉じていた。
「…お許しくだされ、政宗殿」
真田は空を見上げ、ぼそり、と小さく呟いた。



 翌日。土曜日で仕事が休みだということで、伊達や徳川は出掛けずに政宗の家に居た。伊達は風呂場でざばり、と水を浴びていた。
寝ぼけ眼で洗面所にやってきた政宗は、風呂場で水浴びする伊達にげっ、と顔を歪めた。
「何やってんだよアンタこのクソ寒い時に…!」
「Ah?ここあったけぇじゃねぇな」
「てめー雪国の人か!北から目線か!」
「何の話だ。湯を浴びるより水浴びる方が慣れてんだよ、単純に」
伊達は、ぶるっ、と頭を振って髪の水気を払うとタオルを手にとった。洗面所の水道の水がお湯になるのを待ちながらその様子を見ていた政宗は、はぁ、とため息をついた。
「………なぁ、独眼竜」
「なんだ?」
「アンタを支えてるのは誰だ?」
「…!」
政宗の言葉に伊達は驚いたように政宗を見た。お湯に変わったらしいそれでばしゃりと顔を洗った政宗は、驚いている伊達に驚いたように目を丸くした。
「…そんなにアンタの顔が動くのも初めて見たな」
「…今の言葉どう言う意味だ」
「え?いやー…権現は覚悟決めてるけどどことなく不安げなとこがあって、それを支えてるのはアンタだろ。西海の鬼もちょっと支えてる。凶王を支えてる…っつーか、抱き抱えて立たせているのは刑部さんっぽい。あと権現への憎しみ。どいつもこいつも、なんとなく揺れてる。刑部さんだって多分刑部さんの中の、凶王への友愛に支えられてるような気がする。穴熊さんは罪の意識っぽいな、雰囲気的に」
「……へぇ…?」
伊達はタオルを洗濯機に投げ込み、手早く服を着て政宗の前に立った。政宗はそんな伊達にわずかにたじろいだように後ずさる。
「…で?俺も揺れてるってか?」
「………三成言ってたぜ。隠してるけど、アンタも相当凶王憎んでるって」
「…HA ……さすがだな」
「…でも、アンタはそんなに揺れてるようには見えねぇ…憎しみも抑えられてるように見える。だったら、支えてる人間がいるはずだ」
「…、座って話そうぜ」
伊達は政宗の言葉に目を細めて小さく笑い、政宗の肩を掴んで洗面所を出た。
リビングに戻り、政宗は台所で湯を沸かし、伊達はソファーに座った。
「アンタも飲むか?コーヒー」
「…お前がよく飲んでるあの黒いのか。うまいのか?」
「まぁ、初めて飲むやつは苦いってよく言うけど」
「…寄越せ」
「あいよー。で、いんの?いねぇの?」
政宗はコーヒーの用意をしながら、ワクワクしたようにそう尋ねた。伊達はすぐには答えず、タオルで髪を拭っていた。
「…………、小十郎だ」
「小十………片倉先輩か?」
「あぁ、テメェにとっては先輩なんだったか。俺にとってアイツは、俺の右目だ」
「右目………?右腕みたいな存在って、こと?」
「右腕、ね……それ以上だな」
伊達はそう言って右目の眼帯に触れた。政宗はなんとなく深入りしてないけない、と感じたのか、右目のことを尋ねはしなかった。
政宗はマグカップに淹れたコーヒーを伊達の前に置き、小さなボール状の椅子を持ってきて伊達の向かいに座った。
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