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聖なる夜のハプニング44

「…凶王さん」
「……………」
「徳川家康と何があったのか、知った」
「…だったらなんだ」
「……あなたが彼を許せない気持ちは分かる」
「…ヤスもそうみたいだしな?」
「……何?」
政宗の言葉にぴくり、と石田は反応した。そして、意外そうに家康を見た。政宗は自分が邪魔だと判断したのか、くるりと背を向け、そろそろと部屋を出ていった。
石田は政宗が出ていったのを横目で確認すると、家康に向き直った。
「…なぜ貴様が家康を許せない」
「……ワシはな、凶王さん。彼のような聖人君主ではないんだ」
「…………」
家康は膝の上で手を組んだ。
「高校で三成に会うまで友達もいなかったし…それまで友がいなかったということにも気付いていなかった。……だから、彼の動機が理解できないんだ」
「…………」
「…逆のことをされたら……って考えてみた。……考えたくもなかったけど、そんなことをされたら、多分ワシも相手を許せない」
「………」
「まぁ、そんな話をしに来たんじゃないんだ、ワシは。貴方と話がしたいんだ」
家康は暗かった表情を消し、笑みを浮かべた。石田は驚いたように家康をしばし凝視した。そして、はっ、と我に帰ると気まずげに顔をそらした。
「………何を話せというんだ」
「…例えば、貴方の主だという人の話とか」
「秀吉様の…?」
「貴方の話が聞きたいんだ。……ダメか?」
「…秀吉様の事ならば構わない」
そう言う石田の表情は、僅かに柔らかいものになっていた。



 「戻ったぜ 」
「おー、お疲れ西海の、それにぎょーぶさん」
「あれ?」
それから数時間して、長曾我部と大谷が戻ってきた。居間で寝っ転がってスマートフォンを弄っていた政宗が顔をあげた。
長曾我部は意外そうに政宗を見下ろした。
「…なにしてんの?」
「ヤス待ち。凶王さんと話し込んじゃって降りてこねぇんだよ」
「三成と?」
興味なさげな大谷だったが、政宗の言葉に意外そうに政宗を見た。政宗はごろりと寝返りを打ち、体を起こした。
「ヤスがずっと話したがってたからよ。それに、権現に関しての感情が一致してるみたいだし朝からずっと話しっぱだよ、俺も待ち飽きた……」
「…家康に対する感情の一致……」
「ほぅ。無口なあれがそうも話すか…」
「わあぁ政宗!すまん!!」
ちょうどそこへ、ばたばたと走る音がし、居間に家康が飛び込んできた。
「さっき三成から電話きて気が付いた…!もう5時になるんだな……!」
「よく話すよなぁそんなに」
「楽しかったぞ!……今度、先生のところに一緒に行くことにした」
「!なんで」
「誰にとは言ってない。…でも、会わせたい人がいると言ったら了承してくれた」
「…なんで会わせようと思ったんだ?」
政宗はちらっ、と大谷を見たあと、秀吉の名前は出さずにそう聞いた。家康も大谷の存在に気がついており、ちらとそちらを見たあと薄く笑った。
「………何となくだ。あの人が今どういう状況、状態なのか…なんとなく分かったから」
「三成を誰に会わすと?」
大谷の言葉に、家康は大谷を振り返った。にっ、と明るい笑みを浮かべる。
「ワシが最も信用し、尊敬している人だ。心配せずとも、貴方が心配しているような事にはならないはずだ」
「ハテ……」
「構わないよな?」
そう尋ねる家康の口ぶりは重く、有無を言わせぬ気力があった。それを感じ取ったからか、大谷は小さく肩を揺らして笑った後、了承した。
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