スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング58

「…なんだい君たちは?どうやら病院での振る舞いも弁えない、躾のなってない人間のようだけど」
「……………」
「…」
「質問に答えることもできないらしいね。それとも耳が聞こえないのかな?いくらキックボクシング元日本チャンプとはいえ、女性の見舞いに対して随分な装いだと思うけど…家康君絡みかな?」
とある静かな病院の一室に、りんとした男の声が染み渡るように響いた。彼にそう言われても、黒スーツで銃器を持った男たちは、それらを二人に向けて囲んだまま何も言わない。不愉快そうに男たちを睨む男に、傍らのベットに腰掛けるように横たわる女性は小さく笑んだ。
「よい」
「でも秀吉、」
「立ったままでは体に障る、座れ半兵衛」
「………」
男、竹中半兵衛は豊臣秀吉にそう諭され、ベットの脇にある丸椅子に腰掛けた。


 「……この病院だ」
それから数分がたった頃、その病院の上空に大谷の輿に乗った大谷、石田、そして家康がいた。石田は一応外見的特徴を隠すため、三成のフード付きの服を着ていた。
家康は上空から秀吉の病室を指差す。
「あの部屋だ」
「よいな三成、可能な限り殺しはしやるな。それがこちらの太閤の為にもなる」
「分かっている」
「…すまない凶王さん……」
「何故謝罪する」
俯きがちにそう言った家康に、石田は静かにそう言った。家康はわずかに驚いたように石田を見上げる。
石田は、ぎゅ、と木刀を強く握り締めた。
「行くぞ刑部!」
「相わかった、進め進め」
石田はそういうと、たんっ、と軽く跳躍して大谷の輿から飛び降りた。その行動に仰天した家康が慌てて輿から身を乗り出し石田を目で追うと、大谷の数珠が石田の周りをかこい、病室の前で止めた。
ヒヒッ、と大谷は引き攣った笑い声をあげた。
「さて、主は中から行くのであったな。早に屋上に降りるとしよ」
「…なぁ、一人で大丈夫か…?」
「主の愛する三成がいかほどの強さかは知らぬが、凡人にはあれを目で捉えることもできぬ。心配には及ばぬ」
「…!そうか…」
大谷と家康はそう話しながら、屋上へと降り立った。
 一方の石田は窓の前ですぅ、と息を吸うと、大谷の数珠を足場にして窓を蹴り割った。
「!」
「な、なんだ?!」
ガシャアン、と派手な音がして、部屋の中に動揺が走る。石田は部屋の中に踏み込むと同時に勢い良く床を蹴った。
「緋色の雨よ!私を抉れ!!」
「!!今の声、」
目にも止まらぬ速さで男たちをなぎ倒していく石田の声に、半兵衛ははっとしたようにそちらを見、秀吉は驚いたように目を見開いた。
向けられた銃を下から振り上げた木刀ではじき飛ばし、返す刀で首を手加減して叩く。意識を飛ばした男の影を回って銃口から逃れながら、間合いを詰め、腹部を木刀で突き、流れる動きで柄頭でこめかみを殴り、昏倒させた。
「貴様、動くな!」
秀吉に銃口を向けながら石田に対しそう言った男がいたが、ぎろりと石田に睨まれ体を震わせ、その瞬間に三成の突きからの斬りつける攻撃をモロに食らって壁に衝突し、倒れた。
後ろから石田に襲いかかり腕を下から抱き抱えるように持ち上げた男がいたが、石田は一笑するとその場で跳躍してバク転し、バランスを崩した男をそのまま投げ飛ばし、壁に叩きつけた。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28