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聖なる夜のハプニング43

「…なんなんだ、ここの野郎は言っても納得しねぇと逃げやがって」
「……政宗君も……信玄殿も、ワシらを危険視しているんだろう」
「…確かに、殺人鬼って言いやがったしな、アイツ」
「だからワシらを刺激したくないんだろう」
「……それにしても、アンタ、どうするつもりだ、西海の鬼の揉め事は」
「………三成を追い詰める、か…」
「どちらにせよ明らかになればあいつを追い詰める」
伊達の言葉に徳川は困ったように笑い、伊達を振り返る。伊達は徳川の視線から目をそらし、長曾我部を見た。
「西海の鬼に黙ってろ、とお願いするか?」
「…そんなことはしないよ」
「だったら、あのオッサンの言うとおり、お前は何も知らない風を装ってりゃいいんじゃねぇのか」
「………そうかな」
不安げな徳川の声色に伊達ははん、と笑う。組んでいた腕をとき、足元のダンボールを持ち上げた。
「…アンタ、要は石田と正々堂々戦いてぇんだろ。だったら、気が付くな」
「………そうだな」
伊達の言葉に寂しそうな声色を含めながらも、徳川はそう言い、伊達同様足元のダンボールを持ち上げた。


 「…凶王さん」
「凶王ー。返事しなかったら鍵開けて踏み込むぞー」
「………………なんだ」
同じ頃、石田のいる吉継の部屋の前に、政宗と家康の姿がある。政宗の脅しのような言葉に、小さいながらも石田が返事をした。
家康はほっ、と息をついた。
「おおう、生きてた。アンタなんで飯食わねぇんだよ、入るぞー」
「なっ……貴様、」
石田の焦ったような声を軽く無視し、政宗は勝手に扉をあけて中に入った。家康もおにぎりの乗った皿を片手に中に入る。
石田は部屋の中央で正座していた。政宗はきょろきょろ、と石田の周りを見る。
「………何してたの?」
「…何もしていない」
「……ずっと?」
「………何の用だ」
「ん?飯食ってねぇって聞いたから、なんか悩みでもあんのかなーって。あと、ヤスがアンタと話したいって」
政宗の言葉に石田の目が家康に向く。家康は視線に気がつくと、うすく笑った。その笑みに石田は眉間を寄せ、すぐに逸らした。
「…腹は空いていない」
「んな訳あるかァ!知ってっぞ、昨日も一昨日も食ってねぇって!そろそろ餓死すっぞ!」
「数日食わなかったところで死ぬものか!」
「ダァほ!死ぬんだよ!栄養失調で!!なぁヤス」
「ま、まぁ水さえあればもう少し持つが、凶王さんは細いし、水があってももって1週間ってところかな……」
突然話をふられた家康は僅かに驚いたように、だが心配そうにそう言った。
政宗は家康の言葉にふんっ、と胸をそらす。
「医者志望の奴がそう言うんだ、間違いねぇ!」
「…っ、だったらなんだ!」
「食えっていってんだよ!!」
「や、やめろきさ、むぐっ」
「ま、政宗…」
がしり、と石田の頭を押さえて口におにぎりを突っ込む政宗に家康はあわあわと後ろで慌てる。石田は抵抗するが政宗の方が腕力が強いのか、抵抗しきれていない。
「、かった、分かったからやめろ!!」
「ま、政宗、そう言ってるし、な?!」
「いよーし、男に二言はねぇよな」
政宗は石田の言葉にニヤニヤ笑いながらも石田の頭を離した。石田はちっ、と忌々しげに舌打ちをしたが、政宗が離れると渡されたおにぎりをもそもそと口にした。
家康はきゅ、と正座の上で拳を作った。
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