スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング55

「そいつはたまげた。まぁ小生もただのおっさんだからな」
「おっさんとはなんじゃ」
「……秀吉が男、ね…そいつは怖そうだ」
「!」
目を細め、遠くを見るような目でそうつぶやいた官兵衛に、黒田はわずかに眉間を寄せた。
目元が髪の毛で隠されているため黒田の表情に気がつかなかった官兵衛はふ、と顔をあげ、表情を引き締めた。
「出てきた、注意しろ」
「…おぅ」
黒田はジャラリ、と鎖を鳴らした。
 家から出た三成は注意深く辺りの様子を伺った。家康の手をつかみ、先に歩き出す。
「……走れ!」
「おぅ!」
家から少し出たところで、三成はそう声をかけて同時に駆け出した。周りの男たちが素早く動き出した。
三成はちっ、と舌打ちした。
「強行突破だ!官兵衛!!」
「穏便には行かねぇんだな!!」
二人の様子と三成の声に官兵衛は運転席から飛び降り、トランクの扉を開け放つと二人の方へ向かって走り出した。
二人の一番近くにいた男たちが迫ったが、家康の間合いに入ったと同時に勢い良く足祓いをかけられ、不様に転んだ。
「すまない!悪く思うなよ!」
「家康!」
家康の後ろから迫った特殊警棒を三成は懐に忍ばせておいた小さい木刀で受け、弾き返すとその返しで木刀を男の胴に叩き込んだ。鈍い声をあげて男が倒れる。
官兵衛の存在に気がつき向かっていった男たちも、官兵衛は背負い投げの要領で投げ飛ばされた。
「うおおりゃあああ!!」
「なっ、う、ぐあぁっ!!」
車から降りた黒田もその乱闘に加わり、思い切り鉄球を振り回した。
そのさまに三成たち3人も目を丸くする。
「…お前さん力持ちじゃな!!」
「うわあんなの食らったら死ぬ!!」
「はよせんかお前さんら!!」
男たちをなんなくなぎ払い、4人は車に近づく。
だがその時。
「ぁぐっ!!」
「!官兵衛さん!!」
パシュッ、と間の抜けた音がして麻酔銃らしきものから射たれた弾がが官兵衛に命中した。ぐらり、と官兵衛の体が揺れる。
三成は繋いでいた手を解くと倒れそうになる官兵衛の下に入り、俵担ぎの要領で官兵衛を抱えあげた。
黒田はチッ、と小さく舌打ちした。
「お前さんら、ちょっと離れてろ!!」
そう言うと黒田は車に向かって引き返していた体の反転させ、男たちの方へと突っ込んだ。
「!穴熊さん、」
「……風?……家康、早く車に!!」
「えっ?あ、うんっ」
3人が車に転がり込むと同時に黒田は男たちに囲まれた。だが、ぐ、と強く拳を作ると、その場でぐるぐると周り始めた。
鉄球が勢い良く回り、その場に竜巻が起こった。
「うわわわわわ!!!」
「奴ら人じゃない!!!」
「う……」
「官兵衛さん、大丈夫か?!」
三成は素早く運転席に移動し、家康は官兵衛の体をあまり動かさないようにしながら後部座席に移動した。
竜巻が止み、道路があいたところで三成は黒田に向かって車を発進させた。窓をあけ、首を突き出す。
「穴熊!!飛び乗れ!!!」
「あ?え、あ、おう?!」
結構なスピードで突っ込んできた車に仰天しながらも、黒田は鉄球を肩に担ぎ、器用にその車に飛び乗った。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28