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もうお前を離さない144

「貴様の好きにしろ。ただし私の邪魔をするな。そして、私の事を裏切るな。いいな?」
「無論!男として武士として、斯様なことはいたしませぬ!」
一方、真田と石田の話に決着がついていた。
石田は真田に向けていた柄頭を下ろし、ふい、と真田から目を逸らした。
「…それで、先程の話なのでござりまするが…」
「…村越、という女の話か」
躊躇いがちな真田の言葉に、石田はつまらなそうに真田を振り返った。真田は石田の言葉に頷く。
「は…。先程黎凪の声が聞こえ申した故、おそらく村越殿と再会したのでござろうが……何故…貴殿は、村越殿を?」
「………………分からん」
「はっ?」
「私にも…よく分かっていないのだ。……何故わざわざ連れてきたのか」
「は…そうなのでござりまするか…。うむ……あ、村越殿が気になったとか?」
「…どのように」
ぴこん、と人差し指を立て、ニコニコと笑いながら尋ねかけてきた真田に、石田は無表情のままそう返した。
真田は顎に手を添え、考える。
「む…。…そもそも如何様に出会ったのでござるか?」
「道で寝ていた」
「なっ、なんとっ?!あー…では、その奇天烈ぶりが気になった…?」
「…興味などない。仮に貴様が寝ていたとしても、私は踏み付けていくぞ」
「某は道で寝ませぬぞ!あ〜では…。!何かに惹かれたのでは?」
「惹かれる…?…それは恋慕という事か」
「れっ?!恋慕など破廉恥なぁぁっ!」
「…愛など下らん」
再び真っ赤なって叫びだした真田に、石田はあからさまに視線をそらしはぁとため息をついた。
真田はばしばしと己の頬を叩き、ふぅと息をついた。
「ごほんっ、恋慕にのみならず、雰囲気とか、そういったものに………そうっ!興味を持たれたのでは?」
「雰囲気…。………、あ」
「!何ぞ思いついたのでござりまするか!」
「…、気に食わない女だった」
「き、気に食わない?!」
「詳しい事には興味もないが、道で眠る前に父が母を殺したそうだ」
「な…ッなんと……っ」
「…そう言って涙したくせに、目の中に悲しみなど無かった」
「!」
「あったのは贖罪の色のみ…意味が分からん」
「…三成殿は、その理由を知りたいのでは?」
「それは刑部にも言われた、が…分からん」
「むぅ…難しいのでござりまするな…。…っと、某とした事が!!立ち通しにさせてしまい申したっ!!」
「…。いや、私はき「申し訳ありませぬ三成殿ぉぉ!どうかこちらへ!」いやだから私は…聞け真田幸村ぁぁ!」
「真田の大…あーこら!暴走しないの!」
現れた猿飛がそう叫んだが、時すでに遅し、であった。



その頃宮野と村越は。
「何か、あった?」
「……言えないよ」
「…私本当に何も言わないよ。怒りもしないし、馬鹿にしもしない。…だから、…教えてくれない?」
「…無理…。…絶対黎凪は、私を憎む」
「うおぉーい、物騒だな…」
あの手この手で、何故村越が落ち込んでいるのかを聞き出そうとする宮野だが、うまくいっていないようだ。宮野はふぅと息をついて小さく笑う。
「そんな湿気た顔しないで。…私は芽夷の笑ってる顔が一番好きなんだから」
「…、本当に…怒らない?私を、友達として思ってくれる?」
「…一体何があったのさ。芽夷は私の親友だぞ?…嫌いになるわけないじゃん」
「…。分かった。………実は、」

後に続いた村越の言葉に、宮野は限界まで目を見開いた。
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