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もうお前を離さない127

「ははっ…あははははっ」
「…れ、黎凪?」
「あ、ごめんなさい…っ。…、なんか、漫才のコンビみたいで」
「漫才?」
「こんび…?」
「あっ、いやっ、そのっ、…あ、そう、…仲いいんですね」
「…。仲がいい…?」
「むっ…佐助は友なのか?」
「秤スでそんな疑問形!!」
またぎゃあぎゃあ騒ぎだした二人に宮野はくすくすと笑った。
 結局食事は皆でとることになってしまった。質問攻めに合う真田の隣で宮野は戸惑ったように座っていた。
「ゆ、幸村様!み、宮野殿とは何故に?!」
「なにゆえ?!そ、そう言われ申しても…!」
「………」
「黎凪!助けてくれ!」
「…ぇえっ?!た、助けてと言われても私も慣れてないよ!」
「ていうか真田の大将ー。…アンタ等もう接吻とかしたの?」
「せっ…はぁれんちぃぃぃぃぃぃ!!」
「ちょっとここで暴れないでよ!うわ熱っ!旦那ァ!!味噌汁は投げるものじゃありませんっ!!」
「あ!火傷は流水で冷やしてくださいね!その時無理に服を脱ごうとしちゃ駄目ですよ!」
「アンタはそんな事言ってないで真田の旦那止めてよ!!」
「えっ、あ、はい!えーと…接吻なら、しました!」



「え」
「…したの?」
「なっ黎凪…ッ」
「「「えぇぇぇぇっ!?」」」
「…あっ」
「そんな事は聞いてないよぉぉぉっ!?いや、俺様が聞いたか」
「破廉、恥ーーー!!!!」
「わー!ごめんなさい忘れてくださいなんか間違えましたー!」
「たいちょ…。…これは…何の騒ぎで…?」
陣の外の見回りに行っていた忍が猿飛に報告しにきた時、陣内はてんやわんやの大騒ぎになっていた。猿飛は相変わらずの真田の様子に少し安心しながらも深々とため息をつき、愕然としている忍を振り返った。
「あー、気にしないで。…それよりどうした?」
「北方に正体不明の軍勢が」
「?どういう事?」
「その陣営のどこに「幸村様ー!!」
忍の声に被せるように響いた兵の声に、陣内はぴたりと静かになる。声を出した兵はもんどりを打ちながら幸村の前に平伏した。
「斥候よりの知らせッ!!姉小路を何者かの軍勢が奇襲!」
「!!何ッ?!」
「何者か…?旗印はなんだったんですか?」
宮野の問いに兵は首を横に振る。
「旗は掲げておらず…っ」
「旗掲げてない…って…。…そんな事する武将いるんだ…」
「…気にする所はそこか」
「普通武将って俺ここにいるよ!っていう自己主張結構あるじゃない」
「突然の事に姉小路軍は混乱、姉小路が大将も討たれた模様!」
「!なんと…ッ」
「…。鎧の色はなんでしたか?」
「…はっ?」
再びの宮野の問いに、兵はすっとんきょうな声をあげた。困ったように真田の方を見たが、頷かれたので慌てて答える。
「う、海のような蒼にござるっ」
「深い青…。濃い目の青の鎧は…、伊達の鎧だ」
「!」
一瞬陣内に緊張が走る。幸村もぐ、と拳をかたく作る。
「…その軍の動きは?!」
「はっ!西に向け、進行中にござりまするっ!!」
「西?」
「…もしそれが伊達の軍なら大阪に向かってるはずだよ」
「…そうだな、石田殿が…」
「…そうだ大将、この後言おうと思ってたんだけど、石田軍から同盟書の返答が来た。こちらから出向く、ってさ」
「石田殿がこちらに参られる、と?……」
真田は顎に手を添えしばらく黙っていたが、すぐに顔を上げた。
「ここより撤退し、上田城にて彼の軍勢を止めると共に石田殿に謁見いたす!急ぎ撤退の用意を!」
「はっ!!」
バタバタと慌ただしく兵が出ていき、その場には真田と宮野と猿飛が残された。
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