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もうお前を離さない123

宮野は口にして思い出したのか、震えが大きくなる。真田はぎゅうと宮野を抱き締めた。
「…すまぬ…!」
「……なんで幸村が謝るの。幸村は悪くないでしょ…」
「某があの場所に置いていかなければ……!」
「…関係ないよ…幸村は関係ない…っ」
「ッ、もう言わずとよい!…されど……、よくやった」
「……え?」
「無事で…よかった…生きていてくれて…。敵小隊があの崖に向かったと聞いた時…生きた心地がしなかっ、た…」
「…幸村……」
「……守れずに………失うのではないかと…」
真田は抱き締める腕に力を籠めた。離すまいとするかのように強く抱き締める。
「…すまぬ黎凪。次は…気をつける」
「大丈夫…大丈夫だよ」
「そんなに震えていて大丈夫な訳なかろう」
「………」
「…今はしばし、泣け」
「…ッ…ぅ…幸村…ぁ…」
真田はそっと、宮野の頭を抱き寄せぽんぽんと背を叩いた。
だが。
「真田の大…しょええええ???!あ、いたっ!」
「!!!!さ、さささ佐助っ?!」
「…。猿も木から落ちる…」
「狽、まい事言わなくていいから!そ、それより大将…アンタ…!」
「あ…と、さささ佐助、これはだな「大変だー!真田の大将に嫁さんが出来たぞー!」なっ、佐助?!」
不意に陣がぎゃあぎゃあと騒がしくなる。真田は真っ赤に赤面し、宮野はどこかむくれた表情で真田に抱きついたままだった。
「幸村様に…幸村様にも遂に!」
「お、おおお止めくだされ!黎凪!あ、あまり強く抱きつくな…!」
「やだ」
「い、いやだぁぁ?!」
「涙が止まるまで待って…。泣き顔は見せたくない」
「〜〜〜〜………、そうか」
「わぁぁぁぁ!」
野太い歓声があがる。真田が宮野に再び腕を回しただけなのだが、今まで女中と話すのでさえしどろもどろだった真田にしてみれば大した成長だろう。真田は恥ずかしくて仕方なく、宮野の頭に力なく頭を乗せた。
「破廉恥な………、黎凪」
「なに…?」
「…、何かあったらすぐ申せ。…力になる」
「…、ありがとう、幸村」
宮野はそう呟いて、頭を真田の胸に押しつけた。

 「つ、疲れたでござる…」
「真田の大将、あの子どこから連れてきたわけ?やたら手当て上手だったけどさぁ」
「…佐助、お主にだけは真のことを話そう。そこに座れ」
「え、なになに」
真田は漸く騒ぎが収まり、怪我人の手当ての手伝いをするという宮野と別れて一人陣幕にいた。そこへ猿飛が姿を見せる。
真田は自分の前に猿飛を座らせた。
「いいか。俺は嘘は言わない」
「…まぁ、そうだろうね。俺様は疑わないよ」
「…、俺は異界に行って来た」
「…へ?」
「黎凪はこの日ノ本、いや、この世界の人間ではない」
そう言い切ると、猿飛はぽかんとした表情で真田を見上げた。しばらくして頭をぶんぶんと振ると、猿飛はじっ、と真田を見た。
「…。…仮にそれが本当だとして…いや本当なんだろうけど…どうやって?」
「よく分からん」
「はあ?」
「星の声と呼ばれる物によって飛ばされたそうだ。帰ってくる時もそうだった」
「……、なるほど。で…それはまぁ分かった。あ、だから戦の真っ最中に突然いなくなったのか?」
「あぁ。姉小路を攻めていた時であったな」
「本当にびっくりしたんだぜー突然大将がいなくなるんだから。真田の大将…異界ってよく分からねぇけど、よく無事だったなぁ」
「黎凪に拾われたのだ」
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