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もうお前を離さない128

「鎧の色、ねぇ…。…そんなに違うかね?」
「徳川軍は黄色、毛利軍と姉小路軍は緑、伊達軍は蒼で上杉軍は薄い水色、武田は紅…私が覚えてるのはこれくらいですけど、結構分かりません?長曾我部軍とか黒田軍の人は鎧の下に何も着てなかったりしてますし」
「…なるほどね」
「うむ…されど、何故政宗殿が姉小路殿を…」
「…さぁね」
真田の呟いた言葉に猿飛は肩を竦め、小さな音を立てて姿を消した。
「…それに、星の声殿の言葉…」
「自分が特別だと思うな、って奴?」
「何故政宗殿に…」
「…。こんな事言うのは悪いかもしれないんだけど」
「?」

「三成さんが伊達にやった事は、普段伊達が敵将にしてる事と同じじゃない」

「ッ!」
真田は宮野の言葉に息を呑む。
「三成さんは命令を執行しただけだし。……なんか、伊達が三成さんを恨むのはこの時代では筋違いっていうか…」
「…………確かにな…。されど小田原は、あまりにも、」
「それを言うなら、伊達が恨むべきは竹中半兵衛じゃないかな…?命令を出したのは半兵衛さんだし。三成さんにとって、竹中半兵衛と豊臣秀吉は神のような存在だったから、命令は絶対だった」
「そうなのか?」
「…。豊臣の軍師は竹中半兵衛だよ?」
「む……そうだな」
「まぁ、実行犯を責めるか、それとも命令者を責めるかは、その人次第、なんだろうけど…」
うー、と唸りながら宮野はがしがしと頭を掻いた。
「…まぁ、恨みたくなる気持ち、分からないでもないんだけと、なんだろう…殺される覚悟が、そんなに出来てなかったんじゃないかなって」
「殺される…覚悟…?」
「負けるかもしれない、っていう緊張感、の方が正しいかな…。要はあの人、ちょっと油断してたんじゃないかなって思うんだ」
「なっ…政宗殿に限って油断など」
「まぁ、詳しい事は分からないけど…私伊達じゃないからさ」
宮野は小さくため息をついて、視線を空に向けた。夜空には三日月が輝いている。
「ただいつも思うのが、あの人我が道を行くって感じで結構自信持ってそうだなって。彼風の言い方すれば、プライドが高いって感じ」
「自信…でござるか」
「自信を持つことは全然悪いことじゃないけど、あの人は持ちすぎてる感じがするんだよねー…」
「…、黎凪は政宗殿が嫌いなのか?」
「へっ?…嫌い…ねぇ…。いや、別に多分嫌いではないと思う。ただ、伊達みたいな男は友達になりたいとは思わない、かな…。で、でもなんで?」
驚いて真田を振り返った宮野に、真田は小さく笑って見せる。
「政宗殿と徳川殿に対しては物言いが厳しくなっているような気がしたゆえ」
「あー…まぁ、確かに徳川家康は嫌いだけど」
「伯凾「なのか」
「伊達は多分、苦手なだけだと思う。徳川は嫌いなの」
「…徳川殿が嫌い、とは…。人に嫌われるような人柄ではござらんが」
真田はそう小さく呟く。宮野はうー、と再び唸った。
「人はいい、とは思うよ。でも…生理的に、無理」
「せ、生理的?!」
「胡散臭いし」
「胡散臭い?!」
「なんか…信用出来ないんだよね。ふわふわしてて」
「ふわふわ…?」
「三成さんを裏切ったのに、まだ三成さんを敵として割り切れてないじゃない、あの人」
「!」
「だから…なんか見ててイライラするんだ」
宮野はこんこんと自分の頭を叩きながら、小さくため息をついた。
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