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凶姫と龍人25

「政宗殿三成殿!本日の朝の茶はあーるぐれいでござる!」
「、おぅ」
政宗はしばらく固まっていたが、幸村の声にぴくりと体を動かした。三成はそんな政宗に気づかなかったらしい、気にすることなく幸村の元へ行った。
「熱血ぅぅぅぅぅう!」
「止めぬか、阿呆」
「あてっ」
たかたかと走り出した幸村だったが、呆れたようにため息をついた吉継が滑らせた包帯に見事に引っ掛かり、すべしゃっ、と転んだ。
「やれ、落ち着かぬ愚息よ」
「うぬぬぬぬ…!」
「程々にしねぇといつか割れるぞ、幸村」
「それは困るなァ。ほれ、立て立て」
「某は割れませぬぞぉ!」
幸村はめげることなく立ち上がり、再び走り始めた。その様子に三成はくすりと笑う。
政宗は三成の前に座った。
「…伊達政宗」
「Ah?」
「昨晩、何があった?」
「!」
スプーンを持った政宗の手がぴくりと跳ねた。三成はじ、と政宗を見ている。
「……気になんのか?」
「家康だろう」
「っっ!!」
気になるのかと尋ねたのにいきなり正解を言われ政宗は思わず噎せた。気管に入ってしまった茶にげほげほと咳き込む。
「…なんで分かった、ぇほっ」
「先ほど馬の様子を見てきたら不機嫌だった。天君は家康の馬が近くに来ると不機嫌になるんだ」
「…どうなってんだテメェらの馬は…」
「?家康は、私を連れ戻しに来たのか?」
「……あぁ、お引き取り願ったがな」
「迷惑をかけたな」
「……は?」
政宗は呆けた声をあげて三成を見上げた。先程から予想外の言葉ばかり返され、色々と混乱もし始めていた。
三成は三成できょとんと首をかしげた。
「家康は話が通じない男だったろう」
「あぁ、絆を結ぼうだとか、話そうだとか。ま、俺の肌を見りゃ、気も変わってたかもしれねぇな、見せりゃよかったぜ」
自虐的に笑い肩を竦めた政宗に、三成は眉を寄せる。どことなく不愉快そうな顔だった。
「……。もし万が一、また来るようだったら私が行こう。私の話なら少しは聞くだろう」
「はっ?」
「安心しろ、そうやって逃げ出そうとは考えていない」
「…………アンタ、とことん変わってんな」
「!私が変わり者…と?」
くっくと笑いながら政宗が言った言葉に、三成は驚いたように政宗を見た。その目は僅かに揺れている。
政宗はその目には気が付かなかったが、三成の問いに、に、と笑った。
「あぁ、変わり者だ。……だけど、なんだ、あれだ……その……Thanks」
「?さんくす…?」
「政宗殿語でありがとうでござるよ!」
「ばっ!!!!てめ、幸村!!なんでバラしやがる!!」
三成が聞きなれない言葉に首を傾げると幸村がそう叫んだ。とたんに、政宗の顔が真っ赤に染め上がる。
三成は驚いたように政宗を見た。
「な、なぜ…?」
「Nooooooo!!Oh my dear!!!」
三成がそう尋ねれば政宗は更に顔を赤くさせ、食事途中だと言うのに食堂から飛び出していってしまった。
残された三成はぽかんとする。そんな二人に、傍らで様子を見守っていた元親が盛大に吹き出した。
「ぶあーっははははは!」
「?!な、な、なんだ!」
「おいこら、西海。そこになおれ」
「ひー…ははっ、んな怒んなよ、ぶは…っ」
「おいゴラ」
「……どういうことだ?」
三成は怒りを見せる小十郎に尋ねた。
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