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凶姫と龍人17

「〜〜〜〜〜〜〜!」
政宗は痛みに悶絶している。三成は痛くない痛くない、と政宗をあやした。政宗はぎろりと三成を睨む。
「いてぇ!」
「動かさなければ痛みは減る」
「ちっ…テメェが逃げ出すからこんなことになったんだ」
「貴様が勝手に助けに来たんだろう」
「てめ…ッんだよその言い様は!」
ぎゃー、と二人が言い争いを始める。小十郎達は思わず二人から僅かに離れた。
「私は貴様が出ていけと言ったから出ていったまでだ!」
「…ッ。…、テメェがあの部屋に入ったのがそもそもの原因だろうが!」
「貴様が西の外れの部屋がどこか教えないのも悪かっただろう!」
「〜〜〜〜〜!」
三成の言葉に言い返せなくなったか、政宗は再びぷいとそっぽを向いた。意外と降参が早い。
三成は他の傷にも布を当てた。そして、僅かに俯く。
「…だが、助かった」
「…?」
「……助けてくれたこと、感謝する。…ありがとう」
「…!………いや……」
政宗は驚いたように三成を見たあと、照れ臭そうに顔をそらした。何か叫びだしそうな幸村を官兵衛が押し潰し黙らせながら、吉継らはその様子を見守っていた。

 翌日。
「第五天!私はワンピースは嫌だと!言って!!いるだろう!!」
「…でも私、パンツは持ってないわ……昨日は着てくれたじゃない…」
「あの時は伊達の手当てが最優先だったからだ!」
「仕方ないわ……諦めてね……」
「ウワァァ私を中に引きずり込むなァァ!」
三成が朝から騒いでいた。その騒ぎに、普段は昼まで起きない政宗がのっそりと起き上がった。
部屋を出てきた政宗に小十郎と元親が驚いたように振り返る。
「…えっ」
「…Good morning…小十郎……」
「!政宗様。おはようございます」
「また、今朝はえっらい早いなー低血圧なのに」
「…頭いてぇ……つかなんの騒ぎだ…?ふあぁぁ……」
「は、石田が何やら、ワンピースを着たくないと…」
「Ah〜?」
政宗は包帯だらけの体を隠すために白いシャツを羽織り、三成の部屋に向かった。ぎゃあぎゃあと騒がしい部屋をノックせずに開ける。
「おい、入るぞー…」
「?!な、何しにきた!」
三成はぎょっとしたように政宗を振り返った。三成は藍色のワンピースを身に纏っていた。政宗の顔を見て真っ赤になる。
「あ、う、や、み、見るな!」
「はぁ…?…似合ってんじゃねぇか」
「へっ?!」
政宗はしれっ、とそう言ってのけた。更に三成の顔が赤くなる。政宗はふあぁ、と大きな欠伸をした。
「朝から騒ぐんじゃねぇよ……くそ、目ぇ覚めちまったし、飯にすっか……」
「な、え、き、貴様今…!」
「Ah…?……お前、ワンピース嫌なんだって…?」
くる、と政宗が振り返った。三成は、う、と言葉につまり俯いた。
「……そ、そうだ…だって……」
「……。なんでだ?」
「なんで…って……に、似合わないだろう、私に…」
「……」
政宗はぱちぱちと何度か瞬いた後、ずかずかと三成に歩み寄った。じろ、と三成を見据える。
「……に、似合ってないだろう?」
「…俺今似合ってるって言わなかったか?」
「貴様の気の迷いだ!」
「…俺の見立てに文句あんのか?似合ってるっつってんだよ、うだうだ騒ぐな」
「…!…ほ、本当か……?」
三成ははっとしたように政宗を見上げ、おそるおそる尋ねた。
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