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凶姫と龍人20

「失礼します」
三成の所から退出した小十郎は、そのまま政宗の部屋に来ていた。奥にあるベットがこんもり膨らんでいる。
小十郎は小さくため息をついた。
「…政宗様、食べてすぐに寝られますと牛になりますぞ」
「そりゃ牛食ってた村の話だろ」
「種明かしをなさいますな。起きておられるならば尚更、何故また床に戻られた」
「……。Come on,小十郎」
「はっ」
政宗は毛布から手だけ出し、ちょいちょいと小十郎を手招きした。小十郎は政宗の枕元に飛び乗る。
政宗は毛布から顔だけを出した。
「…アイツなんか言ってたか?」
そしてどこか恐る恐るといった風に尋ねる政宗に小十郎は苦笑した。
「…、怒らせたのではないか、と心配しておりましたぞ」
「……なんでだ?」
「すぐ部屋に戻ってしまわれたからにございましょう。無理もありませぬな、そのお姿で女子に会うのは初めてですからな」
「…アイツにはなんて言ったんだ」
「それ故、戸惑っておられるのだろう、と申しておきました」
「…Good job」
政宗はそう言うとふぅと息を吐き出し、ごろんと寝転がった。
頭の下に腕を組み、天井を見上げる。
「…あぁそうだ。政宗様がその姿になられた経緯がバレてしまいました」
「?!Why?!」
「真田が」
「Oh my dear!」
錯乱したか、英語でそう叫び、政宗は毛布の中に再び戻ってしまった。小十郎は再びため息をつく。
「最後までお聞きください。石田は、誰にでも起こりうる過ちだ、と言って気にしておりませんでした」
「……。はぁ?!」
政宗は毛布をはねのけて飛び起きた。政宗の分かりやすい反応に小十郎は、くくく、と笑った。
「そう後ろ向きになりまするな。貴方様らしくもない」
「うっ、うるせ!」
政宗は小十郎の言葉に真っ赤になると、毛布を拾い、その中に隠れてしまったのだった。

 「…ふぅっ、」
「三成殿!」
「やれ三成よ、茶でも飲まぬか?」
2時間後、刀を振る手を止めた三成は、自分を呼ぶ声にそちらを振り返った。いつのまにか吉継が来ていた。
「休憩もせずやっておると塩分不足になるゆえな。松永が何やら作ったゆえ、飲んでやれ」
「そうか、感謝する。いただこう」
三成はそう言うと刀を鞘に納め、二人を振り返った。途端、幸村が真っ赤になり飛び上がる。
「ぎゃあああ破廉恥なりぃぃぃぃ!」
「…三成よ、女子ならば胸にサラシくらい巻きやれ……!」
「?……わっ!」
シャツが汗で透け、胸が丸見えになっていた。
三成は慌てて腕で胸を隠す。
「着替えてくる!!」
「そうさな、そうしやれ」
三成は真っ赤になったままシャワールームに走っていった。
相変わらず吉継の下にいた官兵衛はやれやれとため息をついた。
「…なんか、王子と気が合いそうだな、あいつ」
「ひひっ、そうさなぁ。それより暗、幸村捕まえてきやれ」
「あっ!あのガキまた暴走しやがって!お前さんが蝶よ花よと育てるからああなるんじゃ!」
「おおっと我は急に耳が遠くなったァ、聞こえぬぞぉ?暗ぁ」
「てんめぇっっ!!」
官兵衛は怒りながらも幸村を追いかけにいったのだった。
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