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凶姫と龍人24

「……やれやれ、これは困ったな」
家康は閉じた扉を見つめ、ふむ、と言いながら腕を組んだ。
「諦めないのかね?」
「お前は今ので諦めるのか?アイツは多分いい奴だ。三成の事だけでなく、アイツ自身とも話したいな」
「…気がついていないのなら、別にいいのだがね…」
「?どうした、最上」
最上は珍しく口数を少なくし、馬の頭を返した。普段と態度が違う最上に家康は不思議そうに最上を振り返った。キョトンとする家康に最上はくすりと困ったように小さく笑う。
「…貴公はまだ若いからねぇ」
「?…、まさか、アイツの事、知ってたのか?」
「そんなことより早く帰ろうではないかね!寒くて凍え死んでしまうよ。それに、貴公がいると言っても、ここの狼は怖いのだよ」
最上はそう言いながら馬を進めてしまった。家康は一度城を振り返った後、残念そうに城を後にした。

 「…政宗様、今のは」
政宗が城内に戻ると小十郎が玄関で待っていた。低い位置から渡されたタオルを手に取りながら、政宗はぶすっ、と答えた。
「徳川家康。奴はそう名乗りやがった」
「!石田が言っていた、」
「アイツを返せとよ。丁重にお引き取り願ったがな」
「…後々厄介なことにはなりませぬか」
「……、……。Gentlemanも、いた」
「!!なんですと?!」
政宗の言葉に小十郎は驚いて振り返ったが、政宗はそれ以上何も話さず、上階に向かってしまった。
小十郎はなにか言いたげに政宗を見上げたが、何も言えず俯いた。


翌日。
「朝だ!7時だ!起きろ伊達!」
「?!!?!?!!??」
そう叫びながら、三成が勢いよく政宗の部屋の扉を開いた。政宗は飛び起き、ぽかんとしながら三成を見つめた。毛布が静かにずり落ちる。
「…な、なんだ?」
「おはようございまする政宗殿!松永殿がこれを機に早起きをせよとの事!起こしに参りもうした!!」
「〜〜〜!!こんの大騒音combiが!怒鳴るな!頭がいてぇ!」
「政宗殿も怒鳴っておられるではござらんか」
「早くしろ、貴様の飯が冷めてしまうぞ」
「そんでもって嫌みが通じねぇ奴ら寄越しやがってあのヤロ……!」
政宗は盛大にため息をついた。
 「おや、おはよう」
「テメェ松永どういうつもりだ」
がっ、と政宗は久秀の胴体をつかんだ。ばちっ、と僅かに雷がはぜる。
だと言うのに、久秀はけらけらと楽しそうに笑った。
「いいではないか、早起きは三文の得というだろう?」
「I don't need it!!」
「伊達。貴様はパンを食べるか?」
「…おい石田」
「?何だ」
「……。アンタ、俺がアンタを閉じ込めてんのに、なんで俺を気にかける?」
会話に乱入した三成を政宗は振り返り、そう尋ねた。三成はきょとんと政宗を見る。
「貴様は私をここから出すつもりはないのだろう?」
「……まぁ、今のところはな」
「ならば貴様を敵に回したくはない」
「…………あ、そ…」
「それに、貴様には助けられた恩がある。それは返すつもりだ。だが、私の行為が迷惑ならばそう言え、善処する」
敵に回したくはないという三成の言葉に一瞬落胆を見せた政宗だったが、続いた言葉に驚いたように三成を見た。
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