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凶姫と龍人18

政宗は面倒臭そうに頭をがしがしと掻き、そしてぽふぽふ、と三成の頭を叩いた。
「俺ァ寝起きで機嫌よくねぇーんだ、テメェに嘘ついて何になんだよ……」
「…!」
「ふあぁぁ…眠い……。…えーと、名前なんだっけ」
「あ…石田三成だ」
「そか。…飯、食うか?」
「……。食べる…」
三成がそう答えると政宗は僅かに嬉しそうに笑い、部屋を出ていった。
固まっている三成に市が僅かにすりよった。
「…ね、大丈夫でしょ……?」
「…似合ってるなんて…私を好きだと言う家康にさえ、言われたことなかった…。寧ろ笑われた。だから似合わないのだろうと思ってた……」
「…泣いてるの?」
「…いや。少し、嬉しかった」
三成はそう言うと顔を赤らめたまま、小さく笑った。

 「おぉ?!政宗殿、おはようございまするー!」
「…ッ!!大声出すんじゃねぇ…!」
「む、申し訳ありませぬ」
「おや、随分と早いお目覚めだな独眼竜」
食堂に行くと、厨房から久秀が意外そうに政宗を見た。ことことと鍋が煮えている。
「うっせ…石田が騒いでるから目ぇ覚めた」
「ははは、確かに声は大きいな」
「…すまない」
「!三成殿おはようございまするー!」
「だからうるさい…!」
政宗は頭を抱えながら幸村をしっしと追いやり、椅子に座った。三成はその向かいに座る。
その様子を見た幸村は何故か目を輝かせ、食器棚の方へ走っていった。
「…傷の具合はどうだ?」
「…大したことねぇよ」
「そうか。なら、よかった」
「………。1つ聞いときてぇんだが」
「?」
政宗はじ、ときょとんと首をかしげる三成を見たあと、ふい、と目をそらした。
「…家康って、誰だ?」
「!聞いてたのか」
「聞こえただけだ…」
気まずそうな政宗を三成は不思議に思いながらも、ふむ、と呟いた。
「…。……一言で言うと変な男だ」
「変?」
「私に絆を結べとしか言ってこない。鬱陶しい男だな」
「き、絆…?」
「それは結婚しろ、という事かね」
「?!」
「多分な」
久秀は三成の返答とそれにぎょっとしたように肩を跳ねさせた政宗にからからと笑った。カートがひとりでに動き、久秀の元からスープを運んできた。
「なるほどな。卿は受けなかったのかね?」
「あのようなバカと誰が結婚するか!」
「だ、そうだ」
「…んな風に言われずとも聞こえてんだよ…!」
「?」
「くくく……まぁ食べたまえ。ミネストローネだ」
久秀は含み笑いをしながら鍋の蓋を閉じた。
厨房から官兵衛に乗った刑部と幸村も出てくる。
「昨夜はよう眠れたか」
「あ、あぁ、眠れた」
「主は斯様に朝早くとは、寝れなんだか、王子」
「…眠れなかったんじゃなくて目が覚めただけだ」
「ヒヒッ左様か」
「…そんなに朝遅いのか、貴様は」
「…朝早くは頭痛くなるんだよ」
三成と政宗の会話を聞きながら、何故か幸村は走り回っていた。
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