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もうお前を離さない241

「そりゃ…貴方の指示だったりしたら怒りますよ?低俗な策を使う奴だと罵詈雑言を浴びせてやりまもします。でも、無関係な人間責めても意味ないじゃないですか」
「…ワシは無関係じゃない」
「…とにもかくにも、それが私のポリシー、じゃなくて生き方なんです。…それを否定されても困るんですよ。私はそう決めて生きているので。否定意見を肯定するのは自分の生きてきた道を、ある意味で裏切る事になりますしね」
「………君は、よくそれで三成と付き合えるな」
徳川は怒っているような、戸惑っているような、そんな目を宮野に向けた。宮野は小さく肩を竦めた。
「私は三成さんの殺したい程の恨みを抱くほど誰かを愛し尊敬し崇拝できるところは羨ましく思いますよ?それは私が持てない感情だから」
「………」
「それに私は、自分の生き方が変なのは理解してますから」
「変だと分かっているのに君は変えないのか?」

「私はこの生き方が好きだから」

宮野の言葉に徳川は目を見開いた。宮野はくすりと苦笑する。
「まァある意味で私は自由に生きてますね。他人から見たら不愉快かもしれませんけど、私は『こうありたい』という生き方をしたいなって」
「……………」
徳川は何も言わない。宮野はそんな徳川の横を通りすぎ、部屋の外の夜空を見上げた。
「…私は、誰も否定したくないんです。だって、皆、『こうありたい』と思ってる人間を目指しているんだと思うから。皆正しいんだと私は思うんです。貴方も三成さんも、太閤も第六天魔王も、皆」
宮野はそこまで言ってから徳川を見た。徳川は納得出来ないのだろう、眉間を寄せ不可解そうな表情を浮かべている。
宮野はそんな徳川を見て再び苦笑した。
「…、そんな顔しないでくださいよ」
「…君は…本当にそんな生き方がしたいのか…?」
「はい」
「…、まるで判決を出さない審判のようだ。酷い言い方をすれば、君は傍観者だ」
「……ふむ。傍観者…その真意は?」
「君は誰もが正義だと言った。君は君自身の正義を持っていない!だから傍観者だと言ったんだ」
「…あー。……あー…そう、なっちゃいますね。多分ね。ある事にはあるんです。でも私はそこまで自分を信じられないんですよ」
「何故…?」
不思議そうな徳川に宮野はんー、と呟き頭を傾げた。
「…、前にも言いましたけど、否定ばかりされてきたので。どうやっても違うんじゃないかって思いが消えないんです。まぁ、だからこんな変な見方が出来るのかもしれませんけど」
「…………」
「確かに、あなた方からすれば腹が立つ世界観なのかもしれませんが、それでも私は…変えられないんですよ」
「…辛くないのか」
「特に感じた事はないですよ。ただ、他人の事を理解出来ない時はちょっと辛いですね」
宮野はそう言ってまた苦笑した。徳川も若干表情を緩め、困ったような顔を宮野に向けた。
「それはワシの事か?」
「というより皆ですね。私は経験した事がないから、三成さんの苦しみも貴方の苦しみも分からないんですよ」
「…、何故そこまでして苦しみを理解したいと思うんだ?」
「単純明快です。皆好きだからですよ」
「す、好きっ?」
「私はこの世界の人が皆好きなんですよ。だから理解したいと思うんです」
「………。好きだから、か…」
「まぁ大友宗麟とか、関わり合いたくない人もいますけどね」
宮野はそう言って笑った。
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