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もうお前を離さない231

「…そうか……」
「…貴方は笑顔だけど、いつも悲しげだ。…、三成さんを殺して、その笑顔が幸せなそれに変わるとは思えない」
「ころ…っ。……、………」
「貴方はまだ自分を捨てちゃ駄目だと、思います。自分を捨てたら、貴方は道を見失う、そう思います。これが私の貴方に対する考えです」
「…、そうか」
宮野は俯いた徳川に気まずげに視線を逸らした。
「…あの、あくまで私個人の話ですからね?50%、じゃない半分は偏見ですからね?」
「ん?」
「だから!私の言ってる事は半分以上は偏見から来てるいるから、そんなマジに受けとめなくていいと言ってんです。そういう意見もある、その程度でいいんですよ」
「…ふふ。…、真田が宮野殿を好いた理由が分かった気がするよ」
「二度あることは三度あるーッ!!」
「な?!」
突然叫んだ宮野に徳川は驚いて飛び上がった。宮野は不服そうな顔で徳川を見る。
「それ佐助さんにも独眼竜にも言われましたーッ!!」
「な…!?…はははっ!君は本当に面白いな!なんで語尾を上げ…ッ」
「!…、それですよ」
「…えっ?」
宮野の話し方に笑った徳川に、宮野ははっ、と気が付いたように目を見開き、そして笑った。
「貴方はそういう笑みを浮かべるべきです。いや、貴方だけじゃなく…皆…」
「………」
「…、徳川家康。平和って、なんなんでしょうね」
「…君がいた所は、戦がなかったのだったな。それは、平和だったか…?」
「…どうなんでしょうね。私がいた所は、あらゆる技術が発達していました、それこそ兵器も。…、再び戦争を起こしたら、確実に世界が滅びる」
「…!」
「それだけの兵器を作り出してしまっていた。私達はただその恐怖から戦争を起こせなかっただけだと思います。…それが本当に平和といえるのか、私には判断しかねます」
宮野はそう言って手首の鎖を見た。そして自嘲気味に笑った。
「…、人は兵器に拘束されて生きていた、そんな風に感じます」
「……そうか…………」
「…徳川家康。それでも私は、さっきの貴方のような笑みを浮かべられれば、人は確かに幸せだと思うんです」
「!!」
宮野は手を下ろし、驚いて自分を見る徳川にくすりと笑って見せる。
「平和は幸せの上に成り立っていてほしい、私はそう思います。全ての人を幸せになんてできません、でも人は自力で幸せになることもできる」
「…、…………」
「…私は。絆を守り、平和を作りたいと望むのならば。相手を殲滅する以外のやり方で戦を終わらせるべきだと、思ってます」
「…難しいな」
「簡単じゃないのは分かっています」
宮野はそう言って徳川から視線を逸らし、天井を見上げて薄く笑った。

「それでも私は、諦めたくないです」

「!」
「家康様〜」
「!呼ばれてますよ。存外長話になっちゃいましたね」
宮野は徳川を呼ぶ声に、呆然としている徳川を立つように促す。
徳川ははっとしたように立ち上がり慌てて外に出ようとし、宮野を振り返った。
「宮野殿」
「はい?」
「ありがとう!君と話せて、本当によかった!」
「!そ…そうですか。答えが見つかったら教えてくださいね。暇なので」
「あぁ!!」
徳川はどこか吹っ切れた様子でその場を立ち去った。宮野は膝を抱えると、その間に顔を埋めた。
「…騙してるみたいで感じ悪いな。あぁもう、人って分からないなぁ」
宮野はそう言い、確かにほっとしたように笑っていた。
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