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Not revolved transmigration 128

「ちょ、ははは晴久おまおまおま…」
後から追い付いた宇都宮は狼狽えたようにそう言った。徳川と真田も目を見開く。尼子は気にせずにハンマーを下ろした。
久はぐらりと力なく膝をつく。肺を撃たれたためだろう、口からひゅーひゅーと掠れた音が漏れていた。
「……尼子お前…撃ったのか」
片倉の言葉に尼子は肩を竦めた。動作は落ち着いているが、表情は固まっている。
「撃つとしても外すつもりはあったんだが……お前狙われてたからよ。狙ってる余裕なかったわ」
「……すまねぇ」
「何謝ってやがる。殺す覚悟くらい、してここまで来てるぜ」
「は、はるちゃん…」
尼子は拳銃を構えたまま久に歩み寄った。右手の銃を蹴り飛ばし、後頭部に銃口を押し付ける。
久は口から溢れた血を拭い、小さく笑った。
「……ふふ。してやられたな、全く…」
「変な真似すんじゃねぇぞ」
尼子はそう言いながら久の左手を容赦なく踏みつけた。久の顔が僅かに歪む。
宇都宮は慌てて尼子に近寄った。
「は、はるちゃん!な、な、なんなの?」
「!その男、宇都宮広綱か?」
「あぁ、そんなとこだ。…下がってろ広綱、こいつに近寄るんじゃねぇ」
「ででででもよ、そのままじゃ死ぬぞ?!ってか、今すぐ手当てしないと確実に死ぬぞ?!」
「別に構わねぇよ」
「えぇっ?!」
宇都宮はぎょっとしたように尼子を見た。尼子は表情を変えないまま久を睨み据える。
「…こいつは殺してでも止めなきゃならねぇ」
「……はるちゃん…?」
「くはは、苛烈苛烈」
「!何がおかしい!」
突然笑いだした久に、尼子は銃口を突きつける力を強める。久は肩を揺らして笑いながら、首だけで尼子を振り返った。胸からの出血は多く、いつ死んでも不思議ではない。
久は青い顔で楽しそうに笑った。
「…どうやらここまでのようだな。今生はそれはそれでなかなか楽しいものだったよ」
「何いってやがる」
「だが死骸を晒すのは私の趣味ではないのでね!」
「?!」
突然久は体を起こし、尼子の体を蹴り飛ばした。そこまで動けると思っていなかった尼子は完全に不意をつかれ、後ろによろけた。慌てて宇都宮が尼子を庇うように立った。
だが久は尼子に興味は示さず、窓のまえに立って小さな爆発を起こした。窓ガラスが割れ、部屋に風が吹き込む。
「…何を考えているんだ!」
「ふはは」
久の目的が分かった徳川は咄嗟に床を蹴った。久はそんな徳川に楽しげに笑う。
「…ではさらばだ」
久はそう言いーーー窓から身を投げた。
「なっ?!」
片倉はぎょっとして窓の近くに駆け寄るが、直後巻き起こった爆発に顔をしかめた。
爆風が収まった頃に下を覗くと、そこには何もなかった。久はどうやら、飛び降りた後に自ら爆死したようだ。
「…あの野郎……ッ自殺しやがった!」
「え、えぇぇ?!飛び降りたー!?」
「チッ。自分から死にやがったか」
「はるちゃんやくざみたいー」
「……………悪かったな、ヤクザで」
「えっ?!」
宇都宮は尼子の言葉に再びぎょっとしたように尼子を見た。表情を曇らせる尼子に宇都宮はわたわたと腕を振って困惑した後、ばしんと尼子の頭を全力で叩いた。
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