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Not revolved transmigration 115

「えっ、ちょっ、政宗お前何言ってん…?!」
長曽我部はおどおどしながらそう尋ねた。焦りすぎて語尾が変なことになっている。
伊達は豊臣の頭を抱いたまま、長曽我部に視線をやった。
「悪ぃな元親。そういうことだ。でも、今この人逮捕されても面倒なんでなァ。誰が偽装したのか知らねぇけどよ」
「き、き、きさ、貴様何言ってる?!」
「……っせぇなぁ〜。一度で理解しろよな。アンタは最初っから俺に見覚えあったはずだ、大谷吉継警部よ?」
「!」
尼子は伊達の言葉に眉間を寄せた。他の警官が一気に尼子を振り返る。
「…そうさなぁ。どうにも虫が好かぬと思っておれば」
「あそこから逃げ出すなんてなかなかやるじゃねぇか」
「主は何をしておるのよ。その社長を人質に取ってどうする」
「言っただろ?今警察にこの件を解決されて動かれんのは迷惑なんだよ。……分かったら変な真似すんじゃねぇぞ。人質はこいつだけじゃねぇからな」
「何?」
「それはそうと、最近の教師は気前いいんだな。電話一本ですぐ来やがる」
「…。!主はまさか、」
「政宗!お前学校の先生人質にしたって言いてぇのか?!」
ばん!と机を叩いて長曽我部が怒鳴った。伊達はそんな長曽我部を見て、冷たい薄ら笑いを浮かべるだけだった。

 「………」
「なぁどうなってんだよ孫市!」
「私に分かるか!からすめ!」
その後、人質の数が分からない警察側は、伊達の要求に逆らうことが出来ず、外部に連絡することも出来ないまま、班毎に小会議室で待機するしかなかった。尼子は同じ班の前田と雑賀をちらと見た後、携帯を開いた。伊達が起動させたジャマーのせいで圏外のままだった。
「…時間稼ぎ…警察をニューオータニに行かせないため、ってことか…」
尼子は小さくそう呟いた。
その呟きが聞こえたのかそれともたまたまか、前田と雑賀が尼子を振り返った。
「大谷警部!アイツ本当に闡喪の奴なのかよ?」
「…さてな。先はああ言ったが正直覚えはない」
「はぇっ?!」
「な、なら何故知っていると?」
「片倉という女がおったであろ。あれに弟がおるという話は聞いたことがあるゆえな。それに、奴を煽って人質が危険な状態にさらされたら無意味よ、ムイミ」
「う……確かに」
「…だが信じられない。そんな奴には見えなかった……」
「…前に会ったことがあるのか?主ら」
雑賀の言葉がひっかかり、そう尋ねると面白いくらい二人の肩が跳ねた。尼子はますます訳がわからなくなる。伊達は闡喪組の人間でない事は確かに分かってはいたが。
「いつ、何故会ったのよ?」
「……それ言うなら、アンタだって会ったことあるだろ、つい最近」
問い詰めると問いで返された。前田の表情は険しく、尼子は片倉が会いに来たのと前田達が絡んでいる事に気がついた。
「…(ったくめんどくせぇ…)」
「なぁ。アンタ何者なんだよ?片倉さんと政宗君と、何話したんだよ!」
「慶次!!」
雑賀は慌てたように周りを見た。大谷の班はこの三人だけだったが、隣接する会議室に声が漏れないとも限らない。
「慶次!いくらこの班が運良く私たちだけだったとはいえ、隣には他のやつもいるんだぞ」
「でも孫市…!」
「偶然じゃねぇ」
「…………。えっ?」
突如口調が変わった尼子を、前田はぎょっとしたように振り返った。雑賀も目を見開いて尼子を見る。
尼子は疲れたようにため息をついた。
―――ここまで来た以上、何が起ころうと大して変わらねぇ、か。
心のなかでそう呟くと二人を見据えた。
「警察でスリーマンセル作るってなった時点で俺が決めた」
「アンタ…誰だ!」
「騒ぐんじゃねぇ!あの坊主の時間稼ぎが無駄になるじゃねぇか」
「じ、時間稼ぎ?」
尼子は二人に顔を寄せた。
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