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Not revolved transmigration 125

「おい石田!」
「貴様に守られずとて平気だ!貴様は自分を守っていろ!」
「!」
石田は腰の高さに刀を構えた。その後ろで一瞬固まっていた片倉もすぐに刀を構える。
竹中は二人に歩み寄り、隣に立って久を見据えた。
「貴女は逃がさないよ。絶対にね」
「苛烈、苛烈。これは面白くなりそうだ。だが刀は納めたまえ。無関係の人間が死ぬことになるぞ」
「?!」
「やっぱりね。このホテルのあちこちに、爆弾仕掛けているんだろう?」
竹中の言葉に久は意味深な笑みを浮かべた。石田の額に青筋が立つ。
「貴様…一体なんのために」
「やめとけ石田。こいつにそんな理念はねぇ」
「信じられん」
「さぁ、卿らはどうするのかね?」
久はそう言って左腕を持ち上げた。
先程の爆発の時も久は指を鳴らした。今回また指を弾かれたら、間違いなく爆発する。自身がいようとこいつは爆破する、三人の中にはそういう認識が固まっていた。
竹中は素早く鞭を振るった。鞭は久の左手に絡みつく。久はにやりと笑って右手の袖から折り畳みナイフを取り出した。どう畳んでいるのか、やたら刃渡りが長く日本刀並みにある。
石田と片倉は同時に床を蹴った。部屋は広く、刀を振るのに支障はない。
「はあぁぁぁぁぁっ!」
石田はだん、と強く踏み込んだ。一気に間合いを詰め、久の懐に飛び込んだ。久はぐいと左手に巻き付いた鞭を逆に掴んで勢いよく引き寄せた。予想外の力に竹中の体が引かれる。
「うわっ?!」
「?!」
久はそのまま竹中を振り回し、竹中の声に一瞬動きを止めた石田に竹中をぶつけた。
「いたっ!」
「兄さんッ!」
「ちっ!」
揉んどりうって倒れた二人を飛び越え、片倉は久の前に立った。静かに右下に刀を構える。
久はつ、と片倉の面前にナイフを突きつけた。
「やぁ。今生ではどうやら竜の宝は卿のようだな」
「……そんなことはねぇ」
「おやおや。それがヤクザに関わってまで卿を探そうとした独眼竜に言う言葉かね?」
「政宗は独眼竜なんかじゃねぇ!」
「…ふふ。分かっているくせに…」
久はそう言って面白そうに笑うものだから、片倉は勢いよく床を蹴った。
「テメェはここで終わらせるッ!」
「些末な事だ。私も卿もね」
片倉の斬撃を久はナイフで受ける。きりきりと音が鳴る刀とナイフに久は楽しそうに笑った。
「残念だな竜の右目よ。卿がどれだけ否定した所で何も変わりはしないのだよ」
「政宗には思い出させやしねぇ!それが今の俺の覚悟!その為ならば、私は"竜の右目"になる!」
「!」
久は僅かに意外そうに目を見開き、そして、本当に楽しそうに笑った。
拮抗する刀の間に手を伸ばし、左手で片倉の顔をつかむ。
「…卿は揺るがないな。今も昔も」
「うるせぇ!」
「そうであるからこそ、壊したときの悦びは大きい!」
久はそう言い放つと片倉の刀を弾いた。弾かれた片倉はくるりと一回転して体勢を立て直し、左上に刀を構えた。
同じく体勢を立て直した石田は片倉の右手に立った。
「片倉。兄さんが再び奴の動きを止める、そこを叩く!」
「!石田、」
「1つ言っておく。私は奴を殺す覚悟は出来ている」
「何?」
「貴様1人に背負わせたりはしない。この罪は、私も同罪だ」
「!」
片倉は石田の言葉に目を見開いた。
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