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Not revolved transmigration 119

「む…っ!」
「来たまえ」
松永は久の顔を掴んだまま、パーティー会場から連れ出した。竹中達が待つ部屋ではなく、同じフロアにある自分の部屋に連れ込む。そしてそのまま左腕を後ろにねじりあげた。
「ッ、何を…!」
松永は僅かに動揺を見せる久の耳元に唇を寄せる。
「何故私がわざわざ呼んだか分かるかね?呼び出せるという事は居場所を知っているということだ。どうやらあちらはそれに気がついていながら容認したようなのでこうさせてもらっているがね」
「…?」
「ここで諦めたまえ。そうすれば警察沙汰にはならない」
「…私が止めるとでも思うのかね?」
「まさか。だからこうしている」
松永はそう言うなりべろりと久の耳を舐めた。びくっと久の肩が跳ねた。
「…何をしているのかね。私には欲情しないのだろう」
「しかし卿はするのだろう」
「な…」
久はぎょっとしたように松永を振り返ろうとしたが、左腕を押さえられているせいで振り返れない。
「全く卿は何を考えている?!私とて、気持ちの上で卿に欲情などしないよ」
「身体はするのだろう?」
「それは生理反応というものだ。離したまえ」
「私は心配しているのだよ。卿は私の双子の妹なのだからな」
松永の言葉に久は笑った。
「何を言っているのかね。今さらそんなことを」
「何とでも言うがいい。だが理解したまえ。これが最後の機会だということをね」
「…。卿には悪いが、私は負けようとどうでもよいのだよ。私はただ奪う、それだけだよ」
「!」
松永はすぐさま飛び退いた。その直後、小さな爆発が二人の間に起こる。
松永は深くため息をついた。
「ならば好きにしたまえ」
「勿論、好きにするよ。…あぁ、そうだ」
「?」
「もう風魔には手を出さないよ」
「!」
松永は意外そうに目を見開いた。久はひらひらと手を振ると部屋を出ていった。



 同じ頃、尼子はばんと音をさせて前田と雑賀のいる小会議室に入ってきた。
前田は勢いよく立ち上がる。
「尼子さん!なんだった?!」
「大きな声で言いやるな!」
「あ、ごめっ」
「どうしたんだ。焦ってるようだが」
「焦ってはいない」
尼子は部屋に入るとスーツを脱いだ。ワインレッドのワイシャツの袖をまくる。
「これからうちのボスがいるところに行く」
「!」
「マジで?!」
「奴を呼び出しても警察がいなきゃ奴を逮捕はできねぇ。政宗は俺たちを別室に閉じ込めることで俺をフリーさせる魂胆もあったらしい。お前らも来るか?」
言いながら準備する手を止めず、尼子はポケットのたくさんついたチョッキを羽織ると二人を振り返った。
二人は思わず互いを見やった後、力強く頷き、部屋を出た尼子の後を追った。
「でもどうやって出るんだい?堂々と出てったらさすがに身内にバレるよ。窓から丸見えだもん」
「片倉たちが抜け出したルートを教えてもらった、そっから行く。あぁ、それと俺たちはあくまで政宗の隙をついて抜け出した体だからな。後でそれ忘れんなよ」
「承知した」
三人はそう話しながら廊下を蹴った。
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