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Not revolved transmigration 121

ぶるぶるとポケットに入れた携帯が震えたのを感じ、片倉は素早く携帯を取った。
「誰だ」
『雑賀だ』
「!…こんな時に何のようだ。松永が入ってきてんだよ」
『なんだと?!』
「突然変わるんじゃねぇ、尼子!」
『うっせぇ!もう側にいんのか?』
「ああ、隣の部屋にいる」
片倉はそう言いながら僅かに扉から離れた。声が確実に届かないようにするためだ。
『今そっちに向かってる』
「…!真田が言ってたのは本当だったのか」
『?ま、とにもかくにもだ。後数分でそっちに着く。なんとか証拠押さえといてくれ。それが無理なら、絶対死ぬな』
「?何故だ」
『俺やお前は証人になれる。だけど俺一人じゃ説得力に欠けるし、有無を言わせぬ証拠ならお前の方が知ってるはずだ。だから片倉。お前は俺や他の奴を犠牲にしてでも生き残れ』
「な…ッ」
片倉は怒鳴り出しそうになる気持ちを抑えるために深呼吸した。
「ふざけるんじゃねぇ」
『俺は真面目だ!』
何とかそう返すと、何故か尼子に怒鳴り返された。片倉はぎょっとして携帯を凝視してしまう。
『お前が死んだら誰が松永の悪事を暴露できる。誰がお前が守りたいものを守れるってんだ!』
「…!」
『…あと数分でいいんだ。死ぬんじゃねぇぞ!』
尼子はそう言って電話を切った。片倉は半ば呆然としながら切れた携帯を見下ろし、そして自嘲気味に笑い目を伏せた。
「…冷静になれ。今なすべきことはなんだ」
そう呟くと目を開いた。ふん、と自分に気合いをいれる。
そんな片倉を、くすくすと笑う声があった。片倉は僅かにむっとしながら部屋の奥を振り返った。
「…なに笑ってやがる、大谷」
「いや、すまぬな。主は相変わらず己に無頓着のようよなァ」
「はんっ、てめぇに言われる筋合いはねぇな。てむぇだってアイツしか見えてねぇんだろう?」
「ヒヒ、…確かにな」
「安心しろ。石田の野郎は守ってやる。今は政宗の恩師だからな」
「…左様か」
「アンタはそこで待ってな。出てくんじゃねぇぞ」
片倉はそう言うと扉に近寄り、その隙間から隣の部屋の様子をうかがった。

「やぁ、数日ぶりだね」
「二度と会いたくなかったな」
「教師がそんな言葉ぶりでよいのかね?」
「私は教師として貴様の前に立っているわけではない。座れ」
「おや、これはいたみいる」
久を席につかせ、石田はその前に座った。隣には竹中が座る。
石田はUSBの中身を印刷した紙を机の上にどんと置いた。久の目が僅かに見開かれた。
「これは意外だな」
「貴様はこれを得てどうするつもりなんだ」

「どうもしないよ。処分するだけかな」

「…は?」
久の返答に石田は思わずそう呟いてしまった。
久は石田の様子にくすくすと笑う。
竹中も僅かに狼狽えているようだった。
「私がそれを使って告発するとでも思ったのかね?」
「貴様の話を聞く限り、貴様の趣味のために悪用するとしか思えん」
「ははは、なかなかはっきり言ってくれるね。どうりで兄がやたら止めてくるわけだ」
「!」
久は静かに立ち上がった。
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