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Not revolved transmigration 126

「私が伊達を巻き込んだ。…すまない」
「…ッ。お前のせいじゃねぇ」
片倉は石田の言葉にそう返すと久を見据えた。久はそんな二人の会話を聞いて、笑みを深くしただけだった。
「…行くよ」
竹中は静かにそういうと同時に鞭を振るった。天井のスプリンクラーを破壊し、天井から勢いよく水が放出される。
「ッ」
勢いのよいそれに僅かに久は目を細めた。その瞬間、石田と片倉が床を蹴った。
「はあぁぁぁぁぁっ!」
踏み込んだと同時に体を屈め、反対の足を大振りに振って足払いをかける。久はそれを後ろに跳躍して避けるが、その隙に片倉が一息に間合いを詰める。
構えた刀を振り下ろすがあえなくかわされ、ちっ、と小さく舌打ちをして追撃をかけた。
片倉とせめぎあい、一旦離れた時に石田が距離を詰めた。
その時久が、にや、と笑った。
「かかったね」
「?!」
石田がその言葉に疑問を覚えたとき、足に激痛が走った。
「!石田ッ!」
「ッ!?」
僅かに爆破された足から力が抜け、その場に崩れ落ちる。調度品の影に火薬を仕込んでおいたようだ。
久は笑ってナイフを振り上げた。気づいたときにはもうガードが間に合わない。
「さようならだ」
「…!」
石田が死を覚悟したとき。
隣の部屋から扉を壊す勢いで数珠が飛んできて、石田の周りを囲い、黒みがかった黄色いオーラを放った。
それは結界のようになり、ナイフを阻んだ。
「?!」
―なんだ…どこか懐かしさを感じる……?
「また卿かね、大谷吉継」
「ヒヒ…そやつだけは死なせぬ」
その声に石田がそちらを振り返ると、扉にもたれ掛かるように大谷が立っていた。
久はくっくと喉を鳴らして笑った。
「右目も変わらなければ卿も変わらないのだな。だが諦めたまえ。前回は救えなかっただろう?」
「?!前回…?」

「あの時と今は違うゆえなぁ」

「!大谷君、君まさか」
竹中は、はっとしたように大谷を見た。
だが竹中が声をあげるまえに、久が唐突に指を鳴らした。
その動作の直前に大谷だけ気がつく。
「伏せやれッ賢人殿!」
「!」
竹中は咄嗟に頭をかばって伏せ、片倉もそれに倣った。
部屋の中を満たす程度の爆発が起こり、片倉と竹中は床に叩きつけられた。
「ぐぁっ!」
「くっ!」
「片倉!兄さん!」
「主はそこから動きやるな!」
思わず自分を囲う結界を叩いた石田だったが、大谷の言葉に動きを止めた。
4つの数珠が、大谷の周りをくるくると回る。
「主の相手は我よ」
「かつて勝てなかった相手に対し挑むとは、血気が盛んだね」
「喧しいわ。ここで戦わねなんだら太閤に合わせる顔がないゆえな。主は許さぬぞ」
数珠が禍々しいオーラを放つ。大谷はそう言いながら久を睨みすえた。
久はくっくと笑う。
「…身を不自由にする病もかつてよりは重くないようだしな」
「…失せやれ」
一瞬表情を険しくさせ、そしてすぐに戻し、大谷は床を蹴った。
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