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Not revolved transmigration 122

「私の趣味は宝を愛で、破壊することでね。公のそれは宝にはなりはしない」
「…なら何故欲した?」
「私は公が隠した『宝』に興味があったのだよ。だが、どうやら大して面白くもない宝のようだ。不正の証拠など、随分とつまらないものを隠したものだ」
「…今一瞬見ただけでよく分かったね」
竹中の言葉に久はふ、と笑った。
「生憎と、そういった仕事をしていたものでね」
「…本当にそうかな。気づいていたはずだよ、望むような宝ではなかったと」
「そうだな。気づいていなかったといえば嘘になる」
「!!なら何故続けた!」
「三成君、」
石田は勢いよく立ち上がった。竹中は素早く片倉のいる部屋に目を向けたあと、万一に備えて手を懐に入れた。
久は笑ったまま振り返る。
「警察を介入させたのは貴様だ。それは新日本覇王を潰すためか?そんなハイリスクを犯し、求めていた宝はない、それが貴様の望みか!!」
「…卿は相変わらずやかましい男だな。確かに、あの会社に向かわせた者の動きがどうにもおかしい。片倉が裏切った手前、あれも裏切ったのかもしれないな」
「!」
裏切った、という言葉に石田の肩が僅かに跳ねた。
「…ま、どうでもいいがね。片倉はいるのかね?」
「…貴方にいう義理はないね。これからどうするつもりだい?強いて言うなら、早く逃げないと捕まるよ?」
「?!兄さん!?」
「そうだな…片倉は正義感の強い女だからな。どうせ自首するつもりなのだろう」
「……何を企んでる?」
竹中はぎろり、と久を睨んだ。久は楽しそうにくすくすと笑う。
「企んでいる、か…。そろそろヤクザというものにも飽きてきた頃でね。実をいえば、公の宝を最後に闡喪は壊すつもりでいたのだよ」
「…?………まさか、」
「そろそろ時間だな」
久はそう言って窓に目をやった。さぁ、と竹中の顔が僅かに青ざめる。
「…?」
「片倉君!!」
石田が首をかしげた時、竹中がそう叫び同時に懐から取り出した鞭を久目掛けて振り下ろした。
久は薄ら笑いを浮かべてそれを軽々と避ける。片倉も携帯を手に部屋から飛び出した。

「尼子、逃げろぉぉぉっ!!」




 「えっ?」
尼子の携帯から響いた片倉の怒鳴り声に前田は驚いたように携帯を見た。
尼子の行動は素早かった。片倉の言葉が終わった直後に車を横向きに急停止させ、呆然としている前田と雑賀を車から蹴り飛ばし、自分も飛び出した。
派手な急停止のお陰で前田と雑賀は後続車に轢かれる事は無かった。だがその直後。
三人が乗っていた車が勢いよく爆発した。
「うわぁっ?!」
「なっ!?」
辺りがにわかに騒がしくなる。炎上する車の反対側から尼子が駆けてきた。
「おい無事か!」
「どうなってんの?!なんでこの車が!?」
「知らねぇよ!今ので携帯も壊れちまった。ホテル急ぐぞ!」
「で、でもここ放置するわけには…」
「なら俺一人でいく。どうやらその方が安全みてぇだ」
「…どういうことだ?」
雑賀の言葉に尼子はホテルのある方向を見つめた。車から脱出した際に擦りむいた頬から溢れた血を拭う。
「多分今の爆発はこれ以外でも起きてる。事実、片倉がかけてきたのは警察で支給された携帯じゃねぇ。あれは俺に警告してた…考えたくはねぇが、恐らくもう、闡喪組は逮捕できねぇぜ」
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