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Not revolved transmigration 127

大谷より早く数珠が久目掛けて飛んでいく。久は自分の周りを不規則に動き回る数珠を目で追いながらナイフを構えた。相対する大谷は丸腰だ。
「丸腰だと不利だぞっ!」
「心配しやるな、我はなしの方が得意なのよ」
大谷はそう言いながら久の間合いに入った。突き出されたナイフをすんでのところでかわし、そのナイフを両手で挟んだ。
「ふっ!」
息を吐き出すと同時に下になった手を振り上げた。ぽきん、と簡単にナイフが折れる。
「!」
久は僅かに驚いたようにそれを見たあと、すぐさま折れたナイフを捨てた。後退しながら爆発を起こし、大谷と距離をとる。だが、数珠が勢いよく飛んできて久の左手の周りに集まったかと思うと、石田のように黒みがかった黄色いオーラを放った。
「ッ!」
左手がその位置で止まり動かせなくなる。大谷は掌を久に向けて立った。
「主を殺すのが目的でなし、主が爆破できぬようにすればそれでよいのよ」
「…なるほどな。だが、いささか考えが浅はかだな」
「…?」
久は右手を上げた。その手には何かが握られている。
「死にたまえ」
「ッ!」


ぱんっ

乾いた破裂音が部屋に響いた。大谷の体が後ろに倒れる。
思わず石田は叫んだ。
「刑部!っえ?」
思わずそう叫び、そして自分が叫んだ言葉に顔色を変えた。
「…私は今何を…?」
「大谷ッ!」
爆発の衝撃から立ち直った片倉は大谷に駆け寄った。大谷は壁に手をついて体を起こす。
「やれ物騒な…」
「撃たれたのか?!」
「掠めただけよ…」
「!」
片倉は大谷の言葉にはっと大谷の体を見下ろした。脇腹から僅かに血が出ている。
「松永テメェ…ッ」
「銃を使うのは卑怯かね?」
久は掌に納まる、円形の小さな銃を隠し持っていたのだ。親指でハンマーを下ろし、片倉の額に狙いを定める。
「…」
「あぁ、避けてくれて構わんよ。大谷の胸に穴が開くがな」
「く…っ」
片倉は悔しげに目を細めた。竹中も起き上がるが、鞭が役に立たない。
「卿はなかなか使える人間だった、感謝しているよ」
「……黙れ」
「おや、本心なのだがな」
久の指が引き金に重なる。
それと同時に、石田を覆う結界が解けた。
「止めろぉぉぉぉっ!」
石田は瞬時に床を蹴ったが、ちらりと石田を見た久に爆発を起こされ部屋の反対側まで飛ばされてしまう。久は薄く笑みを浮かべ、再び片倉を見据えた。

ぱんっ



「…がふっ、?」
ぐらり、と体が揺れ、久が口から血を溢した。肺を貫通した片倉の顔から少し離れた壁に着弾していた。
片倉達はみな目を見開く。久は力なくふらふらとしながら後ろを振り返った。
「…おや、生きていたのかね……」
「……!」
久の背後、部屋の入り口で煙の上がる拳銃を手にしていたのは、
尼子だった。
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