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Not revolved transmigration 114

そしてその日が訪れる。

ホテルニューオータニに竹中、石田、猿飛、片倉の姿があった。着替えは持っていないため、目立たないようボーイ風の格好に化けた猿飛以外は相変わらずのスーツ姿だった。
「…少しだけ緊張します」
「そうかい?」
「気を強く保て。でねぇとつけ入れられるぞ」
「…ッ。分かっている」
石田は片倉の言葉にぱしん、と頬を叩いた。猿飛はちら、と腕時計に目をやった。
「そろそろ始まるね。社長は一時間後に来させるって。俺様もそろそろ移動するわ。ここじゃ影潜出来ないしね」
「分かった。くれぐれも見つからないようにね」
「はいはーい。じゃね」
猿飛はいつもの調子で部屋を出ていった。片倉だけが苦笑いを浮かべる。
「…野郎も昔のまま、か…」
「?」
「何でもねぇ。それより竹中」
「なんだい?」
片倉は持ってきていた布袋から、一振りの日本刀を取り出した。最初に対峙した時に使っていた日本刀だ。
「黒龍だ。家宝の刀でな。…オメェに貸してやる」
「!君はどうするんだい」
「もう一振りある」
驚いたように聞いてくる竹中に、片倉は鞘が白い日本刀を見せる。竹中は黒龍を抜き、くるくると手の内で回したあと、静かに鞘に納めた。
「この刀なら三成君の方が得意だろう。僕じゃなく三成君に」
「どうだ、石田」
「えっ?!あ、すまない。抜いてみてもいいか」
「あぁ」
石田は竹中から黒龍を受けとると静かに抜刀した。ひゅんひゅん、と音をさせて何度か振った後、驚いたように片倉を見た。
「いい刀だな。今まで振ってきたどの刀よりも、いい」
「それは光栄だな」
鞘に納める前に刀身を見た石田は、ふ、と手を添えた。
「梵天…成天…翔…独眼竜…。梵天独眼竜と成りて天翔る、か?」
「よく読めたな」
「…独眼竜、梵天丸。戦国武将、伊達政宗か」
「その通りだ。片倉家は戦国時代あたりから伊達家にずっと仕えている一族だからな」
「いいのか。家宝の刀を、私に」
片倉は石田の言葉に、じ、と石田を見た。石田は黒龍を鞘に納め、左手に持ったまま真っ直ぐ片倉を見ている。
片倉は薄く笑った。
「構わねぇよ。なんでもアンタ、政宗を負かせたそうじゃねぇか。俺なんかより、手練れのアンタに使われた方がそいつも喜ぶ」
「私はそうは思わない」
片倉ははっきりとした石田の拒絶の言葉に、驚いて石田を凝視してしまった。
石田はずかずかと片倉に歩み寄ると黒龍を片倉に押し返し、代わりに白い鞘の刀を取った。
「その刀は、貴様とずっと戦ってきた刀なのだろう。貴様が使え、私が持つべきものではない」
「石田……」
「何より、その刀が貴様がいいと言っている」
石田はにや、と笑って黒龍を撫でた。
「刀霊が宿っているのかもしれん。…大切にしろ」
「あ、あぁ…」
片倉はぽかんとしながらも、黒龍を握りしめて笑った。



 その頃、新日本覇王ではハプニングが発生していた。証拠が出たと、警察が言ってきたのだ。
豊臣達は会議室で大量の警官に囲まれていた。その中には前田も雑賀も尼子もいる。無論、成実も。
「逮捕状がおりた。午前11時55分、」
「待ちな」
豊臣に手錠を掛けようと警官が近寄ってきた時、伊達はおもむろに立ち上がった。そして怪訝そうな目が向けられる中、豊臣の後ろに立つと、唐突に豊臣の首に腕を回し、反対の手で豊臣の首筋に小型ナイフを突きつけた。
「な?!」
「??」
長曽我部は思わず叫び、豊臣は不思議そうに自分の頭の横にある伊達の顔を見た。警察官がざわめく中、伊達はにやりと笑った。
「馬鹿な公務員どもがはまりやがったな。その証拠はにせもんだ」
「何言ってんだテメェは!」

「俺は片倉政宗。テメェ等が必死こいて探してる闡喪組の幹部だ」

ざわめきが一気に大きくなる。伊達はただ、にやにやとした笑みを浮かべていた。
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