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貴方も私も人じゃない70

「…誰だ貴様は?」
「あぁ、源三殿」
「?知っているのか、家康」
「私の連れの者です。今は家康様の元で預かっていただいております。どたばたで忘れておりましたが、紹介していなかったと思いまして」
「………そうか」
三成はさして興味がないようで、頭を下げる源三をじろりと見ただけで、それ以上は何も言わなかった。
家康はふ、と思い出したように顔をあげ、首をかしげた。
「でも、どうして水浴びを?昨日までは…」
「明日、半兵衛様と共に大阪に向かうことになりました」
「!ってことは…」
鎮流の言葉に三成も意外そうに顔をあげた。
「秀吉様に接見する、ということか?」
「そうなります。お二人とは、しばらくお別れになりますね」
「…秀吉様に失礼をなさるなよ」
「無論、善処いたします。半兵衛様が心より信頼なされる御方…今から少し緊張しているくらいです」
「はは、秀吉公は大きな人だ、そう緊張することはないさ」
「家康っ!貴様はむしろぶっ!」
「あーもう分かったよ。それはまた聞くから」
家康の口ぶりに三成は眉間を寄せ、何かを言い募ろうとしたが、家康に口元に碗を押し付けられ、それは塞がれてしまっていた。
家康は押し付けられた勢いが痛かったらしい、口元を押さえる三成に、だが構うことなく鎮流の方に向き直ってふわりと笑った。
「大阪まで、半兵衛殿を狙う敵勢が現れるかもしれない。気を付けて」
「…、はい。ありがとうございます」
鎮流は家康にそう返し、静かに頭を下げた。

なぜか、胸は僅かにドキドキと高鳴っていた。

鎮流はそれを気取られないように、にこ、と笑みを張り付けた。家康はそれには気が付かなかったか、ただにこにこと笑うのだった。
痛みから回復したらしい三成はようやく顔をあげた。そして、鎮流の顔をみて眉間を寄せた。
「…ふん、ヘラヘラと笑うな。不愉快だ」
「!三成、お前何てことをいうんだ!」
「…、失礼しました、分かりますか」
「へっ?」
三成の言葉を諌めるように声をあげた家康だったが、僅かに驚いたような声をあげた鎮流にきょとんと鎮流を振り返った。
三成は目を細め、家康をちらりと見た。
「…この男も、しょっちゅうそうだからな」
「……、左様でございますか」
「??ん??なんなんだ??」
一人現状が飲み込めない家康は、疑問に首をかしげていた。
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