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貴方も私も人じゃない69

「…み、三成、お前ならしないと思うけど、見るなよ?」
「?元より興味はない」
「うぇっ?!……男としてどうなんだそれ…」
「?ならば貴様は興味があるのか?見たいのか?」
「いぃぃっ?!そうじゃない!そういう意味じゃないぞ?!うん!!」
「?分からん奴だな」
三成は顔を赤くしたり青くさせたりする家康を不思議そうに見ながら、手にした即席の碗を、くい、と煽った。


「………ふぅ、」
鎮流は水に冷たさを感じながらも、ざばりと濡れた髪をかきあげた。下ろすとそれなりに鎮流は髪が長く、ふっと手を離せば腰の近くまで髪が落ちた。
ぱしゃん、と水が跳ねる。ぴゅうと吹いた風が身体を震わせる。鎮流は僅かに眉間を寄せた。
「爺や」
「はい」
「流石に寒かったわ」
「……そうでしょうな。布と着替えです」
「有り難う」
鎮流は川岸にいた源三が差し出した手拭いで手早く身体を拭って源三が用意していた着物を羽織った。先まで着ていた衣服は、源三が見張りがてら畳んでいた。
「…そういえば、僅かに徳川様と石田様のお声が聞こえましたな」
「あら、そうなの?気がつかなかった…」
「恐らく川上の方にいるのかと思われます」
「…、挨拶していきましょうか、どうせ戻る道すがらですし」
「ええ、そういたしましょうか」
鎮流は家康と三成を探すことにした。


三成と家康は彼らが最初にいた場所から動いていなかった。先の騒ぎを忘れたように、静かに酒を酌み交わしていた。
「家康様、三成様」
「ん?しず…うわっ!!鎮流殿!」
「うわ?」
後ろから声をかけると家康がすぐに振り返ったが、声の正体が鎮流と分かるとぎょっとしたようにそう叫んだ。
無遠慮にそう怒鳴られた鎮流は僅かに眉間を寄せた。三成もゆっくりと鎮流を振り返る。
「貴様か。水を浴びるならもう少し慎重にしろ、見えていたぞ」
「!」
「みっ?!!?おま、何言い出すんだ?!!?!」
家康は今度は三成の発言にぎょっとしたように三成を振り返った。そうとう驚いたか、声が半ば裏返っていた。
鎮流も鎮流で、三成の発言に慌てたように川下に目をやった。
「…確かに見えてしまいますね。気を付けます…」
「みっ、見えただけで、そのっ、そういう目で見たりしてないから!!な!?」
「?はい」
「うぇっ?」
「…家康貴様、少しは落ち着け」
三成は家康の動揺ぶりに小さくため息をつき、碗を地面に置いた。そして、ふ、と気が付いたように源三を見た。
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