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貴方も私も人じゃない54

「うーん、鎮流君!」
「!はい」
半兵衛は気だるげに鎮流を呼んだ。鎮流は僅かに驚いたように半兵衛を振り返る。
半兵衛はわしわしと自身の頭をかき乱した。
「この城の始末、君と三成君と家康君に任せるよ」
「へっ!?」
「なっ?!」
「私も…でございますか?し、しかし…」
「別にいいよ、この城の人間が味方になろうが敵になろうが大したことないって分かったし。もう隊長達は皆殺っちゃったでしょ?」
「…は……」
「はは……」
「あぁ、ごめんごめん。攻撃してきたのはあちらだし、そうしてきた人間を生き残らせても面倒だしね」
半兵衛はどうせ、と言った言葉に気まずげに俯いた二人に、気だるげながらもそう言い足した。
半兵衛は鎮流を見、ふっ、と薄く笑んだ。
「それに、こういう事態で君がどう判断するかも見ておきたいから。一日あげる、明日までに決めておいて」
「…承知いたしました」
鎮流はぱちぱいと驚いたように瞬きを繰り返したが、すぐにそう返し、頭を下げた。
半兵衛は、うん、と満足げに笑った。



「さて、どうしましょうか」
その夜。あの後、隊長クラスが起こした、半兵衛曰く悪あがきに、その配下の兵たちは哀れになるほどの戸惑いを見せていた。現在はまだどうするかは決まっていないため、彼らの城で待機している。
その肝心の扱いを任された3人は、一通り落ち着いた頃に、陣の一つに集まっていた。
家康は困ったように肩をすくめ、二人の方を見た。
「ワシは彼らは助けてやりたいが…」
「確かにただの一兵卒、数はそれなりにいますが昼間の統率の取れなさを見る限り大した脅威にはなりそうにはありませんね」
「だが奴等が秀吉様に敵対していたのも事実だ!信用など出来るものか」
「そうは言うが…」
「鎮流。貴様はどう考えている」
「は…私、でございますか」
呼ばれた鎮流は少しばかり迷ったように視線を落とした。
三成はわずかに苛立ったように鎮流を見た。
「貴様は半兵衛様をお守りした。半兵衛様も貴様に判断を任された。…貴様が判断しろ、よほどふざけたものでなければそれに従う」
「…!」
ー軍師としての奴の判断には従う
昨晩三成が口にしていた言葉が思い出された。今日半兵衛の護衛をしたことで、人としての鎮流への多少の不信は拭えたようでもあった。
鎮流は僅かに、どこか嬉しそうに笑う。
「…兵達に事実を聞かせ、彼ら自身に判断させる、のはどうかと」
「何?」
「こちら側が強制すると一部の者は反発することが予想されますし、 そうして配下に組み入れたとしても既存の兵らとの確執が生まれるのはほぼ必須。かといってあれだけの人数を放置したら逆恨みされないとも限りません。ならば」
「なら…?」
鎮流は家康の方へ視線を向けた。
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